家庭の事情などで親に住んでいる場所を知られたくないと考える人は少なくありません。その場合、分籍や本籍地の移動が有効かどうか、住民票などの情報がどのように管理されているかを正しく理解することが大切です。この記事では、親に住所を知られたくない人のために、法的な選択肢や注意点をわかりやすく解説します。
分籍とは？そして住所を隠すために有効なのか
「分籍」とは、戸籍を親の戸籍から抜いて、自分だけの新しい戸籍を作る手続きです。これにより親とは別の戸籍になりますが、「戸籍」と「住所」は別の情報として扱われます。
つまり、分籍をしても住民票の住所が同じままであれば、親が何らかの理由で調べた際に、住民票の住所にアクセスできる可能性があります。分籍だけでは「住所を知られない」対策にはなりません。
本籍地を遠くに設定しても効果は限定的
本籍地を遠方に移したとしても、これもまた住所とは関係ありません。本籍地は戸籍が保管される市区町村を指すもので、住んでいる実際の住所とは切り離されています。
そのため、本籍地を変更するだけでは親に住所を知られないための決定的な対策にはなりません。混同されがちですが、本籍＝現住所ではないという点に注意が必要です。
住民票の閲覧制限を活用する「支援措置制度」
住民票を通じて親に住所を知られたくない場合、もっとも効果的なのが「住民基本台帳事務における支援措置」の申請です。これは、ストーカーやDV被害などの対象となっている場合、住民票や戸籍の閲覧を制限できる制度です。
[参照] 総務省「支援措置制度について」によれば、必要な書類と理由を提出すれば、第三者（親を含む）が住民票を簡単に取得できなくなります。
住民票の移動と注意点
住民票を移すことで、現在の住所を別の自治体に登録することができます。ただし、住民票の写しを請求された場合には、正当な理由があれば交付される可能性があります。
特に親が扶養関係にある場合や、法的な代理権がある場合、状況によっては取得が認められるケースもあります。支援措置制度や家庭裁判所への相談を含め、専門機関に相談することが安心です。
専門機関や窓口に相談するのが最も安心
住民票や戸籍の保護について不安がある場合は、地方自治体の「市民課」や「戸籍課」、または女性相談センター・法テラスなどの無料相談窓口の活用が有効です。
たとえば「DV被害の相談」や「家庭のトラブルに関する相談」など、背景事情に合わせた対応をしてくれる窓口があります。
まとめ：住所を知られないための現実的な対策
分籍や本籍地の移動は、親からの独立を形にする方法ではありますが、それだけで住所が知られなくなるわけではありません。実際の住民票の閲覧制限や支援措置制度を活用することが、より確実な対策です。
状況によっては法的な支援が必要になる場合もありますので、自己判断だけでなく、必ず専門機関に相談して進めることをおすすめします。