民事裁判で命じられる支払額に含まれる費用とは?開示・弁護士・裁判費用の扱いを解説

民事裁判の判決文でよく見かける「被告は原告に対し○○万円を支払え」という表現。この金額には、果たして開示費用や弁護士費用、裁判費用などが含まれているのでしょうか?この記事では、民事裁判における支払命令の内訳と、含まれる費用・含まれない費用の違いについて解説します。

判決の支払命令は「請求額の認容」が基本

判決における支払命令は、原告が訴えで請求した金額のうち、裁判所が「正当」と認めた部分に限って認容されます。この金額は損害賠償や慰謝料などの「実体的請求」に基づくものです。

例えば、名誉毀損による慰謝料請求で100万円を求めた場合、裁判所が妥当と判断した額、たとえば30万円が支払命令となります。

開示請求費用は判決に含まれるのか?

発信者情報開示請求などにかかった費用については、原告が別途「損害」として請求した場合のみ、認容される可能性があります。何も請求していなければ、裁判所の判断には反映されません。

判決文の支払命令に開示費用が含まれているかを確認するには、訴状の内容や請求原因を詳しく見る必要があります。

弁護士費用は含まれる?「付加的請求」としての扱い

弁護士費用は原則として自己負担が原則ですが、例外的に不法行為に基づく損害賠償請求の場合、請求額の1割程度が認容されることがあります。これを「弁護士費用相当損害金」と呼びます。

ただし、必ず支払命令に含まれるわけではなく、原告が明示的に請求していた場合のみ対象になります。

裁判費用(訴訟費用)の負担はどうなる?

訴訟費用とは、印紙代・郵送費・証人の旅費などが含まれます。これらは裁判官が「訴訟費用は被告の負担とする」などと命じることで、別に精算されるのが一般的です。

つまり、判決主文の「○○万円を支払え」には含まれないことが多く、費用の内訳は別途「訴訟費用負担決定」で明示されます。

実例:SNS中傷の損害賠償請求をめぐるケース

あるインターネット中傷裁判で、原告が請求したのは「慰謝料50万円+弁護士費用5万円+開示費用実費2万円」。裁判所は、慰謝料30万円と弁護士費用3万円のみを認容し、開示費用は否定されました。

このように、どこまでが支払命令の対象になるかは、請求の仕方と訴因(不法行為か否か)に大きく左右されます。

まとめ:判決金額だけで費用の全体は分からない

民事裁判の支払命令に含まれるのは、主に損害賠償や慰謝料などの賠償金であり、開示費用や弁護士費用、裁判費用が自動的に含まれているわけではありません。

費用の扱いはすべて「請求内容」や「裁判所の認定」に依存するため、判決文の主文だけを見て全体を判断するのは危険です。必要に応じて、主文だけでなく理由部分や訴状も確認することをおすすめします。

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