近年、SNSなどで芸能人に対して過激な発言が見られることが増えています。その中でも「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」と名指しするような投稿は、法的にどのような問題があるのでしょうか。本記事では、名誉毀損罪との関係を中心に、法律の専門家の視点から解説します。
「トクリュウ」とは何か?
「トクリュウ」とは、ネット上で用いられる俗語で、組織的な詐欺や犯罪行為に関与する集団を指すことが多いです。警察用語や法律用語ではありませんが、犯罪性や反社会的行動を連想させる強い表現です。
これを著名人に当てはめると、その人物が反社会的な行為に関与しているかのような印象を第三者に与えるリスクがあります。
名誉毀損とは何か?法律の定義を確認
刑法230条では、公然と事実を摘示して、人の社会的評価を低下させることを名誉毀損としています。たとえ発言内容が真実であっても、公共の利益に資する目的がなければ名誉毀損罪が成立する可能性があります。
特に芸能人は「公人」ではなく「著名な私人」とされ、私生活や人格への攻撃は慎重に扱う必要があります。
「○○はトクリュウだ」と投稿した場合の法的リスク
芸能人に対して「トクリュウでは?」と投稿する行為は、事実無根であれば刑事上の名誉毀損罪や民事上の損害賠償責任を問われる可能性があります。
「名誉毀損まではいかないと思っていた」「個人の感想だ」という主張は、裁判では通らないケースもあるため、慎重な対応が必要です。
実際の判例から見る:ネット上の名誉毀損
過去の裁判例では、匿名アカウントによる中傷投稿が名誉毀損と認定され、数十万円から数百万円の損害賠償が命じられたケースもあります。
例えば「詐欺グループの一員だ」と書き込んだ投稿について、明確な根拠がないまま断定口調で書かれていたため、社会的信用を著しく傷つけたとして有罪となった判決もあります。
SNS利用時の注意点とトラブル回避法
意図せず名誉毀損に該当してしまう投稿を防ぐためには、断定的な言い回しを避け、裏付けのない憶測は控えることが重要です。
また、話題の人物や事件に言及する際は、一次情報を確認し、誤情報を拡散しないよう注意を払いましょう。違法性がなくても、信用を失うリスクもあります。
まとめ:憶測での投稿は名誉毀損リスクに直結する
芸能人をトクリュウと結びつけるような投稿は、事実無根であれば法的に非常に危険です。軽い気持ちの投稿が刑事責任や損害賠償に発展する可能性があるため、SNSでの発言には慎重な判断が求められます。
情報発信には責任が伴う時代。「事実でないことは書かない」「推測は推測として明記する」という基本を守ることが、トラブル回避の第一歩です。