日常的に訪れることのあるパチンコ店。しかし、その場で他人からの視線や態度に不快感を覚える場面も少なくありません。とくに「睨まれた」「威圧的な態度を取られた」といった体験をしたとき、それが精神的なダメージになった場合、果たして法的な手段で慰謝料を請求できるのでしょうか。本記事では、睨みつけられる行為が法的にどのように扱われるかを法律の専門的観点から解説します。
睨む行為は「違法」になるのか?
まず結論から言えば、「睨む」行為自体は法律上で明確に禁止されているわけではありません。つまり、それだけでは違法行為とは認定されにくいのが実情です。相手がどれほど不快に感じたとしても、視線だけで慰謝料を請求するのは困難です。
ただし、睨む行為に加えて言葉による威嚇や暴言、身体的な接触などが伴えば「威圧行為」「迷惑行為」として民事上の不法行為責任や刑事的な処分対象となる可能性が出てきます。
慰謝料請求が認められるケースとは?
慰謝料が認められるのは、「不法行為による精神的損害」が立証された場合です。これは以下のようなケースが該当します。
- 継続的な嫌がらせやストーキング行為
- 暴言や名誉毀損に該当する発言があった場合
- 直接的な暴行、脅迫があった場合
これに対して、たった一度睨まれただけで精神的苦痛があったとしても、裁判所が損害と認めるハードルは非常に高いです。
証拠がなければ成立は難しい
慰謝料請求を進める上で最大の壁となるのが「証拠」です。睨まれたという主張だけではなく、防犯カメラ映像、第三者の証言、医師による精神的被害の診断書などが必要になります。
特にパチンコ店のような公共の場では、映像記録が残っている可能性もありますが、それを開示してもらうには店側の協力か、法的手続きを要します。
店側に相談することの重要性
仮に相手からの睨みや威圧的態度に継続性がある、または恐怖を感じるレベルであった場合は、パチンコ店のスタッフにすぐに相談することが望まれます。
お店の対応により、その場でのトラブルを収められる場合もありますし、何かあったときの証拠としても記録が残ります。また、常習的に迷惑行為を行う人物であれば店舗出禁などの措置が取られる可能性もあります。
過去の判例に見る判断基準
過去には、「視線だけでは違法行為と認定できない」とした判例も多くあります。一方で、視線に加え「罵声」や「つきまとい」など複数の要素があった場合に、慰謝料が認められたケースも存在します。
たとえば、通勤電車で特定の女性を毎日無言で睨み続け、精神的苦痛を与えた事例では、慰謝料請求が認められた例もあります。ただし、これも「継続性」や「執拗さ」があったことが前提です。
まとめ:睨まれただけでは法的措置は難しいが、対処法はある
パチンコ店などで不快な視線を受けた場合、法的な慰謝料請求がすぐに認められる可能性は極めて低いのが現実です。しかし、不快感を放置せず、店員への相談や証拠の記録を行うことが、今後の対応に繋がります。
精神的に深く傷ついた場合は、心療内科を受診し記録を残すことで、万一の際の根拠にもなります。冷静に、しかし毅然と対応することが、安心して過ごせる環境作りにつながるでしょう。