モラハラやDVの被害を受けて離婚した後でも、元配偶者が近所に頻繁に現れることにより、精神的な負担が続いてしまうケースは少なくありません。特に生活保護を受けている場合、「引っ越し=贅沢」と見られがちですが、精神的理由による転居も正当な理由となる可能性があります。この記事では、精神的苦痛が理由で生活保護受給者が引っ越す際の要件や手続き、必要な書類について詳しく解説します。
生活保護受給中でも転居は可能?
生活保護を受給していても、転居が「やむを得ない事情」に該当すれば、市区町村の福祉事務所の承認を得て引っ越すことは可能です。その理由として認められるものには、次のような例があります。
- 家賃の値上げや契約終了
- 建物の老朽化・立退き命令
- 医療機関への通院の便宜
- 精神的苦痛(DV・ストーカー・元配偶者による接触など)
特にモラハラやDVの被害経験があり、医師から「距離を取るように」との指示を受けている場合、それは正当な転居理由に該当する可能性が高いです。
精神的苦痛による転居を認めてもらうための書類
精神的苦痛による転居を福祉事務所に申請する際には、以下のような書類が必要になります。
- 医師の診断書:転居の必要性(例:「現住居付近に加害者が現れ精神的負担が増しているため、転居が望ましい」)を明記
- 生活状況報告書:現在の住環境が精神的健康にどのような影響を与えているか、事実を時系列で記載
- 可能であれば、近隣住民とのやり取りの記録(会話メモやLINEなど)
これらを提出することで、福祉事務所が転居の必要性を判断しやすくなります。
どこに相談・申請すればいい?
転居の相談は、お住まいの福祉事務所のケースワーカーに直接行うのが基本です。電話予約をして面談し、事前に資料を持参して説明するとスムーズです。
また、地域の法律相談窓口や女性支援団体、精神保健福祉センターでもアドバイスをもらうことができます。特に、女性支援団体はDVやモラハラに詳しいため、同様のケースを多く扱っていることが期待されます。
引っ越し費用は支給されるのか?
引っ越しには、敷金・礼金・引っ越し業者代などがかかりますが、福祉事務所が転居を認めた場合、これらの費用は原則として生活保護費から支給されます。
ただし、「事前の承認が必要」であり、自己判断で契約・引っ越ししてしまうと費用が支給されない可能性があるため、必ず相談してから動くようにしましょう。
安心して暮らすために必要なこと
精神的安定は、健康な生活を営む上で不可欠です。モラハラの被害が続く環境に身を置くことは、回復を妨げるどころか症状を悪化させる原因にもなります。
引っ越しを前向きな一歩と捉え、関係機関の支援を得ながら安全な生活環境を整えることが重要です。引っ越し後は、自治体によっては「ひとり暮らし高齢者等見守りサービス」なども受けられることがありますので、ぜひ活用してみてください。
まとめ:精神的理由での引っ越しも制度の中で可能
生活保護受給者であっても、モラハラや精神的苦痛が理由での引っ越しは制度上認められるケースがあります。まずは、医師の診断書を取り、福祉事務所にしっかり相談することから始めましょう。自分自身の心と身体を守るために、正しい手続きと準備で、安全な住環境を整えていきましょう。