「この絵、AIですか?」という投稿は誹謗中傷になる?開示請求が通るケースと判断基準を解説

近年、SNS上で「このアカウントの絵はAI生成では?」と疑問を呈する投稿が増えています。これに対して、事実無根であれば名誉毀損や誹謗中傷になるのではないかと感じる方も少なくありません。この記事では、こうした投稿が法的にどのように扱われるのか、開示請求が認められる要件を中心に詳しく解説します。

AI疑惑投稿は名誉毀損に該当するのか?

「この絵、AIですか?」という表現は一見すると疑問形で中立的にも見えますが、受け取り手や社会通念によっては、作者の信用を損ねる可能性があります

名誉毀損が成立するためには、以下3要件が必要です。

  • 特定の個人・法人が対象であること
  • 社会的評価を低下させる内容であること
  • 公共性・公益性・真実性のいずれかを欠くこと

したがって、事実無根で「AI作品だ」と示唆された場合、その表現が絵の作者を特定し、かつ評価を下げるものであれば、名誉毀損が成立し得ます。

「疑問形」「主観」でも責任を問えるケース

「〇〇はAIっぽい」や「これは自作じゃない気がする」といった主観的・疑問的表現でも、暗にAI生成と断定する意図が読み取れる場合、名誉毀損・侮辱・業務妨害に該当することがあります。

特に、創作活動において「AI生成である」というレッテル貼りは、「自作ではない=創作性がない」と見なされ、評価や信用を大きく傷つける要因になります。

プロバイダ責任制限法に基づく開示請求の可否

被害者は、誹謗中傷投稿の投稿者を特定するために「発信者情報開示請求」を行うことができます。これは以下の条件が揃った場合に裁判所が認めることがあります。

  • 違法性が明らか(名誉毀損、侮辱など)
  • 被害者が特定されている
  • 開示が必要かつ相当である

「この絵AIでしょ?」といった発言が事実無根で、かつ明確にアカウントや作品が特定されている場合、名誉毀損が成立する可能性があり、開示請求が通るケースもあります

実例に見る開示が通ったパターン

2022年には、SNSで「盗作」や「トレス」と言われたクリエイターが、プロバイダ責任制限法に基づき発信者情報の開示を裁判所に認められた事例があります。

AIに関する風評も同様に、「不正・無断利用・創作性の欠如」といった誤解を誘導するため、法的リスクが存在します。

投稿者が注意すべきポイント

・事実を確認せずに疑いの投稿をしない
・疑問形でも第三者の名誉や信用を傷つける可能性がある
・スクリーンショットで残るため「すぐ消した」は言い訳にならない

こうした観点から、SNSでの発言は法的責任を伴う可能性があることを意識すべきです。

まとめ:疑いの投稿が誹謗中傷になる可能性は十分ある

「この絵、AIですか?」という投稿が、作者を特定し、信用を傷つける形で広まった場合は、誹謗中傷や名誉毀損として開示請求が認められる可能性があります

疑問形であっても免責されるとは限らず、発信前に「それが事実か」「誰が傷つくか」「社会的評価を下げないか」を十分に吟味することが大切です。

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