匿名掲示板やSNSでの何気ない発言が、思わぬトラブルに発展するケースは少なくありません。特に「場所の特定」や「顔が見られる」といった表現は、受け取り方次第で脅迫や名誉毀損といった法的リスクにつながる可能性があります。本記事では、SNS発言における注意点や、開示請求の仕組みについて解説します。
「場所を特定したら顔が見られる」発言の法的な位置づけ
このような発言は、受け手の感じ方によって「監視・つきまとい」を示唆するものとして捉えられる場合があります。特に対象者が恐怖や不安を感じた場合、名誉毀損罪(刑法230条)や脅迫罪(刑法222条)、またはストーカー規制法に抵触する可能性が否定できません。
ただし、これらは「害悪の告知」や「人格権の侵害」の有無が問われるため、故意性や文脈が重視されます。悪意がなかったこと、謝意を示していることがあれば、被害者が告訴を思いとどまる可能性もあります。
開示請求は簡単にできるのか?
インターネット上の発言に対する開示請求は、民事・刑事問わず可能ですが、実際には2段階の法的手続きが必要です。
- 発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法第4条)
- 損害賠償請求または刑事告訴
プロバイダに対してIPアドレス等の開示請求を行うには、投稿内容が明らかに名誉毀損や脅迫などに該当し、権利侵害があったと認められる必要があります。
開示請求が通りやすい事例とは
例えば、以下のような投稿は開示が認められやすい傾向があります。
- 特定の個人名やSNSアカウントを明示し、侮辱・中傷を行った
- 繰り返し投稿されており、執拗さがある
- 相手の居住地や顔写真の拡散をほのめかす内容
一方で、1回限りの投稿で明確な悪意がなく、謝罪の意思を示している場合は、実際に開示や訴訟まで進まずに終わるケースもあります。
謝罪や和解を望む場合の対応
もし発言の相手が特定できる場合、真摯な謝罪を文面で伝えることは大きな意味があります。誤解が生まれた背景や悪意がなかったことを具体的に説明することで、相手が開示請求や法的措置を思いとどまる可能性があります。
ただし、相手の反応を見誤って逆効果にならないよう、弁護士を通じて謝罪文を送る方法も有効です。
投稿を削除することの重要性
問題の投稿はすみやかに削除することが、今後の対応においても有利になります。たとえ発言が拡散されていなかったとしても、証拠として残ることで開示や告訴の材料にされてしまいます。
また、投稿サイトや運営者に削除依頼を出すことも検討しましょう。
まとめ:SNS発言は慎重に、誠意ある対応が解決の鍵
インターネット上では、軽い気持ちの発言でも受け手によっては深刻な脅威と感じられることがあります。「場所を特定」「顔を見る」などの文言は特に注意が必要です。すでに発言してしまった場合は、投稿の削除と誠意ある対応、必要に応じた法的アドバイスの取得を通じて、事態の収束を図ることが大切です。