個人事業主として無在庫卸ビジネスを続ける中、業績不振や負債の増大により、自己破産を検討するケースは少なくありません。特に海外での債権回収や民事訴訟が絡むと、判断が難しくなることも。本記事では、自己破産のタイミングや裁判との関係、さらに事業再建の可能性について整理して解説します。
自己破産は台湾の裁判前にできるのか?
結論から言えば、台湾での裁判が完了していなくても、日本国内で自己破産の申立ては可能です。ただし、裁判で発生する可能性のある債権(和解金や損害賠償など)については「将来発生が見込まれる債務」として申立書に記載しなければなりません。
また、裁判が進行中である旨は破産管財人や裁判所に報告し、場合によっては手続きの進行が一時保留される可能性もあるため、弁護士と密に相談して進めることが重要です。
契約や債務の現状から考える破産の適否
年商2億円以上あるものの、3年連続赤字であり、直近では800万円の赤字。さらに、借入は計7,000万円超。これに加え、個人のカードローンやリボ残高も抱えており、返済負担は月40万円以上と極めて重い状況です。
これだけの負債と返済額を、現在の収入(年金10万+バイト10万+本業20万)で維持するのは困難といえ、法的整理の選択肢は早急に検討すべき状況です。
不良債権(貸付金)と破産の扱い
台湾での民事裁判で約3,000万円の和解交渉が進んでいるとのことですが、仮に回収見込みがあっても、「返済原資」として確定しない限り、破産時の資産とはみなされません。
ただし、破産手続き後に大きな返済を受け取った場合、破産管財人の判断で配当対象となる可能性があります。そのため、訴訟継続中であることを申告し、回収予定額を開示する姿勢が大切です。
自己破産と事業継続の両立は可能か?
個人事業主が自己破産しても、手元に残る自由財産(99万円以内)や差押え不可の年金などは保持可能です。また、廃業義務があるわけではなく、一定の制限下で事業を再開することも可能です。
ただし、事業用資産や在庫、設備が一定額を超える場合は処分対象となることがあるため、注意が必要です。
精神的負担が限界なら専門家への相談を
「気が狂いそう」「毎日自己破産のことを考える」と感じている時点で、精神的・経済的に限界が近い状態です。このような場合、自力での判断は危険です。以下のような無料相談窓口を活用しましょう。
- 法テラス(日本司法支援センター)
- 地元の弁護士会の法律相談センター
- 市町村の無料法律相談
特に、自己破産は個別の状況により結果が大きく異なるため、弁護士による面談相談が不可欠です。
まとめ:裁判中でも破産申請は可能、早めの相談を
台湾での裁判が進行中でも、日本での自己破産申請は妨げられません。むしろ、現在の収支バランスや返済状況を踏まえれば、一刻も早い法的整理の検討が現実的です。
まずは弁護士に相談し、自己破産に関する正しい知識と選択肢を整理した上で、今後の人生設計を立て直していくことが重要です。