交通事故が発生したとき、その加害者が運転していたのが普通車か大型トラックか、または一般のドライバーかプロの職業ドライバーかによって、法律上どのような違いがあるのか気になる方も多いでしょう。この記事では、車種や運転者の立場によって異なる責任や処分の違いについて詳しく解説します。
事故の刑事責任は車種に関係なく基本的には同じ
交通事故における刑事責任（罰金や懲役など）は、原則として事故の内容や過失の程度によって判断されます。そのため、「普通車か大型トラックか」で罪が変わることは基本的にありません。
たとえば飲酒運転、無免許運転、スマホ操作による事故などは、どの車を運転していても重い刑事罰が科されます。ただし、大型車両はその破壊力が大きいため、被害が深刻化しやすく、結果的に重罪に繋がる傾向はあります。
行政処分では大型車に特有のペナルティも
運転免許の停止や取消といった行政処分においては、大型車両に関する特有のルールがあります。たとえば、大型免許保持者は、違反点数が累積すると大型免許だけが取り消される可能性もあります。
また、道路交通法第103条により、車両の種類に応じた義務が強化される場合もあります。大型トラックなどは特に、過積載や整備不良などの違反に厳しい行政指導が行われます。
プロドライバーにはより重い社会的・業務的責任がある
バス運転手やトラックドライバーなどの「二種免許」や職業ドライバーは、一般の運転者よりも社会的・業務的責任が重く評価されます。
たとえば業務中の事故では、雇用契約や就業規則に基づく懲戒解雇や損害賠償責任を問われることがあります。また、一定の違反によっては二種免許の取り消しや営業所への行政処分（業務停止命令等）が下されることもあります。
実例：飲酒運転事故における大型車と普通車の比較
たとえば、2022年に発生したあるケースでは、大型トラック運転手が酒気帯び状態で追突事故を起こし、重大事故に発展。免許取消と同時に運送会社も営業停止処分を受けました。
一方、同程度のアルコール量で普通車を運転していたケースでは、被害の程度が軽かったため、行政処分と略式起訴で終わった例もあります。このように、「結果の重大性」が処分の重さを左右する大きな要素となります。
事故後の処分に差が出る要因とは？
- 被害者の怪我の程度や死亡の有無
- 加害者の過失の種類（信号無視、無免許運転、飲酒など）
- 業務中か否か
- 過去の違反歴
- 被害者との示談状況
これらの要素が総合的に評価され、刑事処分・行政処分・民事責任の全てに影響を与えます。
まとめ：プロドライバーや大型車運転手にはより厳しい監視と責任が伴う
交通事故の罪そのものは車種や職業によって変わるわけではありませんが、その運転者が大型車を操っていたり、職業運転手である場合には、結果の重大性や社会的影響が重く見られ、処分がより厳しくなるのが現実です。
「業務で運転している」「大型車を扱っている」という自覚を持ち、安全運転と定期的な安全教育の徹底が求められています。