駐車場内でのバック事故:追突された側でも過失が問われる?過失割合と対応のポイント

商業施設などで見られる共有駐車場では、自動車同士の事故が少なくありません。特に予測しづらいバック事故は、加害・被害の線引きが曖昧になることも。本記事では、駐車場内でのバックによる追突事故における過失割合と対応のポイントを解説します。

■ 駐車場内での事故の特性とは

道路とは異なり、駐車場内には信号や一方通行などの交通規制がなく、原則「徐行運転」が前提となります。そのため、事故が発生した場合、当事者双方に一定の注意義務があると見なされることが多いのが特徴です。

つまり、後ろから追突されたとしても、「完全に無過失」にはならないケースもあり得ます。

■ バック事故における基本的な過失割合の考え方

一般的に、駐車場内でのバック事故では「後退車がより高い注意義務を負う」とされ、バックした側:停止中の車 = 80:20とされることが多いです。

しかし、後退前にハザードを出さず、急な動きで相手車両に気づかせる余地がなかったなど、相手の運転に明らかな問題があった場合は、さらに過失が大きくなることもあります。

■ 今回のような事例でのポイント

今回のケースでは、以下の点が評価の分かれ目となる可能性があります。

  • 加害車両が停車前にいきなり後退を始めている
  • ハザード点灯が後退開始後である
  • 後続車がクラクションで警告をしていた
  • 追突された側は完全に停止していた

これらの要素から、加害者側の過失がより重い(90:10や95:5)と判断される可能性も十分にあります。

■ 駐車場では「駐車しようとする車優先」は成立するのか

駐車場内には法的な「優先権」は明確に定められていません。そのため、「駐車しようとしていたから優先」という理屈は通りません。あくまでも周囲の確認と徐行義務が基本です。

特に、急な停止やバックなど、予測困難な運転をした側には大きな責任が問われます

■ 保険会社への報告と証拠の確保を忘れずに

事故後はすぐに保険会社に連絡を取り、事故状況の説明とともにドライブレコーダーの映像や写真などを提供しましょう。クラクションを鳴らしていたことや、完全停車していたことを示す映像があると、過失割合の判断に有利になります。

また、事故直後の相手方との会話も録音やメモに残しておくと、後々の主張に役立ちます。

■ 実際の判例と過失割合の例

以下は類似ケースの判例における過失割合の一例です。

  • 駐車場内でバック開始直後に後退し、後方確認を怠った事故:加害者90%、被害者10%
  • 明確な後退の意思表示なし・予測困難な動き:加害者95%、被害者5%
  • 後退中にクラクション等で警告を無視してぶつけたケース:加害者100%

まとめ:予測困難な後退は加害者の責任が大きい

今回のような「停車している車に後退で追突した事故」では、原則としてバックした側に大きな過失があるとされます。後方確認不足や急な操作は重大な注意義務違反とみなされやすく、被害者側が完全停止していた証拠があるなら、過失割合も被害者に有利に傾きやすいです。

事故直後の対応・証拠の確保が、今後の示談交渉や保険請求に大きく影響するため、丁寧な対応を心がけましょう。

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