交通事故で打撲やむち打ちなど軽度のケガを負った場合、「人身事故として届けるべきか?」「物損事故のままでいいのか?」と迷う方は少なくありません。この記事では、事故の扱いに関する基本的な違いや判断のポイントを解説します。
物損事故と人身事故の違いとは
物損事故は、人ではなく「モノ(車やガードレールなど)」に損害があった事故を指します。ケガ人がいなければ基本的に物損事故で処理されます。
一方、人身事故は、負傷者が出た事故で、警察が医師の診断書などをもとに人身事故として正式に処理します。加害者には違反点数が加算され、罰則の対象にもなります。
軽い打撲でも人身事故にするべきケースとは?
たとえ軽度な打撲であっても、次のようなケースでは人身事故扱いにするメリットがあります。
- 後日痛みが悪化する可能性がある場合
- 加害者が責任逃れをしそうな態度をとっている場合
- 保険金請求の正当性を強く担保したい場合
人身事故扱いにすると、治療費・通院交通費・慰謝料などの請求において、より確実に補償が受けられる可能性が高くなります。
物損事故のままでも問題ない場合
一方、ケガの程度が非常に軽く、短期で治癒が見込まれ、加害者側との示談もスムーズに進んでいる場合などは、物損事故のままでも実務上大きな問題が生じないケースもあります。
ただし、物損事故扱いにすると、慰謝料が出ない、後遺障害が認定されづらい、といった不利益が出る可能性があります。
人身事故への切り替え方法
事故当初は物損事故で処理された場合でも、医師の診断書を持って警察署に届け出ることで、人身事故へ切り替えが可能です(原則として事故発生から10日以内が目安)。
診断書はコピーではなく、原本の提出が必要です。また、切り替えを行った場合、加害者に行政処分(違反点数・反則金)が科されるため、加害者との関係に配慮が必要なケースもあります。
実例:軽傷で迷ったが人身事故に切り替えたケース
あるドライバーは、交差点で追突されて軽い首の痛みがあったものの、当初は物損事故として処理。その後2日後に首の痛みが悪化し、通院が必要に。
診断書を提出して人身事故に切り替えた結果、慰謝料と通院交通費が保険でカバーされ、数万円の補償を受けられたという実例があります。
まとめ
・軽い打撲であっても、診断書が出ているなら人身事故扱いにすることで補償の面で安心できます。
・物損事故のままでも問題ないケースはありますが、補償面や法的リスクを踏まえて慎重に判断しましょう。
・迷った場合は、医師・警察・保険会社に相談し、客観的な視点で手続きの判断を行うことが大切です。