会社員として業務中に社用車を運転していて事故を起こしてしまった場合、特に気になるのが「自分の医療費はどうなるのか?」という点です。社用車には会社の自動車保険が適用されるケースが多いですが、その範囲や補償内容には注意すべきポイントがあります。この記事では、事故の加害者側となった際に自分の治療費が補償されるかどうか、制度や実例をもとに詳しく解説します。
社用車の自動車保険の基本構成を知ろう
社用車には通常、会社名義で自動車保険が契約されており、以下の3つがセットになっています。
- 対人賠償保険:事故で他人にけがをさせた場合の補償
- 対物賠償保険:他人の車や物に損害を与えた場合の補償
- 人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険:運転者や同乗者のケガを補償
このうち、自分自身の医療費に関係するのは「人身傷害補償保険」や「搭乗者傷害保険」です。
加害者側でも補償されるの?自分のケガと保険の関係
事故の加害者であっても、「人身傷害補償保険」がついていれば、自分の治療費も補償される可能性があります。
この保険は過失の有無に関わらず、契約している車に乗っていたすべての搭乗者のけがに対して補償する仕組みです。ただし、保険内容は会社ごとに異なるため、社用車の保険にこのオプションがついているか確認が必要です。
業務中か通勤中かで責任と補償が変わる
会社員が社用車で事故を起こした場合、そのシーンが「業務中」か「通勤中」かで対応が変わることがあります。
- 業務中:会社の業務命令下であれば、労災保険が適用される可能性も
- 通勤中:原則的に会社の業務外とみなされ、自動車保険のみが頼りとなる
通勤中であっても社用車を使用している場合は、会社の社内規定により補償対象となるか否かが左右されるため、会社の就業規則や事故対応マニュアルを確認しましょう。
労災保険の適用範囲と併用の可能性
事故が業務中に発生したものであれば、労災保険による医療費の補償も視野に入ります。労災と自動車保険の人身傷害保険は併用できるケースもありますが、重複して補償されるわけではないため、事前に社内の労務担当者などに相談することが重要です。
また、事故原因が重大な過失(飲酒運転など)に該当する場合は、保険の適用対象外となる場合もあります。
会社の責任と個人の負担ラインの境界線
多くの会社では、社用車使用時の事故に対して企業としての責任を果たす姿勢をとっていますが、過失が明らかに重大であると、従業員個人に負担を求める可能性もゼロではありません。
例えば、一時停止無視などの違反によって発生した事故であっても、保険会社が医療費を支払う一方で、後から会社側が「一部自己負担」を求めるケースも稀にあります。そのため、就業規則や社用車管理規程を確認しておくことが安全です。
まとめ:社用車事故時の医療費はケースバイケース
・自分の医療費は、人身傷害補償保険が適用されれば保険でカバーされる可能性が高い。
・事故の状況が「業務中」か「通勤中」かにより、労災の適用有無が分かれる。
・社用車利用時の事故対応は、事前に会社の保険契約内容と社内ルールを把握しておくことが鍵。
・万が一の事態に備えて、自分が加入している傷害保険や医療保険の内容も再確認しておくと安心です。