近年、行政機関や有名企業を装った特殊詐欺の手口が巧妙化しており、「法務局」「裁判所」「カード会社」を名乗って不安をあおる電話が多発しています。この記事では、実際にかかってきた「法務局からカード不正利用の連絡」という事例をもとに、その手口と正しい対処法を解説します。
法務局はカード不正利用に関与しない
まず結論から言うと、法務局がクレジットカードの不正利用について連絡してくることは一切ありません。
カード不正利用があった場合、通常は利用したカード会社、または被害に遭った当事者が先に警察や消費者庁に連絡する流れになります。法務局は登記や戸籍、供託などの公的事務を扱う機関であり、個別の民間カード利用には関与しません。
典型的な詐欺電話の手口とは
今回のような電話は、詐欺グループが不安を煽るために「法務局」などの名称を勝手に使ってかけてくるケースです。典型的な流れは以下の通りです。
- 知らない番号から着信
- 「法務局」や「警察」「消費者センター」などを名乗る
- 「カードが不正利用されている」「裁判になる」「身に覚えのない契約がある」と言う
- 情報確認を名目に個人情報やカード番号を聞き出そうとする
こうした電話の最終目的は、金銭をだまし取るか、個人情報を悪用することにあります。
番号を見極める方法
例えば「╋8701247332」のような番号は、+870で始まる海外の衛星電話番号である可能性があり、一般的な国内の公的機関が使用するものではありません。不審な番号は、ネット検索するか、国民生活センターなどの情報も参考にしましょう。
また、正規の法務局からの連絡は基本的に文書による通知(封書)が原則であり、電話で急かすようなことはありません。
詐欺電話を受けたときの正しい対応
怪しいと思ったら、以下の行動をとることが推奨されます。
- すぐに電話を切る(応対を続けない)
- 絶対に個人情報やカード情報を伝えない
- 通話内容をメモしておく(時間、内容、名乗った機関名)
- 消費者庁または国民生活センターへ相談する
- 不安な場合は警察の#9110相談窓口に連絡
また、スマートフォンの着信ブロック機能や、迷惑電話対策アプリの導入も有効です。
実際に被害に遭ってしまったら
万が一、口座番号やカード情報を伝えてしまった場合は、すぐにカード会社・金融機関に連絡して停止手続きを行いましょう。
また、万一送金してしまった場合は、送金先の金融機関に連絡して「振り込め詐欺救済法」の対象になるかどうかを確認することが重要です。
まとめ:行政を名乗る詐欺には冷静に対処を
「法務局からカード不正利用の連絡」は明らかに不自然であり、詐欺の典型的な手口です。少しでも不審に思ったら、通話を即終了し、信頼できる公的機関に相談しましょう。
不安を感じた場合は、一人で抱え込まず、早めに周囲の人や公的相談窓口に相談することで被害を未然に防ぐことができます。