車の接触事故のあと、修理もせずに示談金として高額な修理費やレンタカー代を請求されることがあります。この記事では、こうしたトラブルにどう対応すべきか、法的な観点や判例をもとに解説します。
示談書に記載された金額は妥当か?
まずは示談書に記載された金額が「妥当かどうか」を確認しましょう。たとえばバンパー交換程度の軽微な損傷で修理費8万円+レンタカー代6万円(6日間分)の合計14万円はやや高額に思えるかもしれません。
一般的にバンパー交換費用は工賃込みで3~7万円程度が相場です。レンタカーについても、軽バンタイプで1日あたり約5,000〜7,000円程度が多く、6日間で6万円というのは高めの設定です。修理内容と日数の根拠を確認することが大切です。
修理していない場合でも請求できるのか?
法的には「修理の有無」にかかわらず、損害が発生したことが明らかであれば、加害者に賠償請求することは可能です。これを「評価損」と呼ぶこともあります。
ただし、現実に修理を行っていない場合、被害者が請求できるのは「実際の損害額」であり、過剰な金額や根拠不明な費用は認められません。そのため、請求には見積書や写真など具体的な証拠の提示が求められます。
レンタカー代6日分は認められるのか?
バンパー交換は通常1日〜2日で完了するため、6日間も代車を要するケースはまれです。過去の判例でも、明確な理由がない限り、長期間のレンタカー代は「相当性がない」として却下されることがあります。
したがって、相手が6日分のレンタカー代を請求する根拠(入庫遅延、部品取り寄せなど)を明確に説明できない場合、その全額を支払う義務はないと考えられます。
示談を成立させる際の注意点
示談は双方の合意が前提ですので、金額や条件に納得がいかない場合は、無理に応じる必要はありません。以下の点に注意してください。
- 請求金額の明細(見積書、請求書)を確認する
- 弁護士や保険会社と相談し、法的妥当性を検討する
- 内容証明でのやり取りや示談書の作成は慎重に進める
なお、相手が脅迫的な言動を行った場合は、録音や記録を取り、警察や弁護士に相談することも検討してください。
保険を活用して冷静に対応する
車の事故では、加入している任意保険(対物賠償保険)を利用して対応するのがもっとも安全です。保険会社を通じて交渉を任せれば、相手との直接トラブルを回避できます。
保険会社が不当と判断した請求には支払いを拒否するため、自ら交渉するよりも正確かつ公正な処理が期待できます。
まとめ:納得できない請求には毅然とした対応を
事故後の示談交渉では、相手が弁護士を通じて高額請求してくるケースもありますが、修理していない車の高額な修理費・過剰なレンタカー代には十分注意が必要です。
不安な場合は、まず保険会社や交通事故専門の弁護士に相談し、適正な額かどうかを客観的に判断してもらいましょう。感情的にならず、冷静な対応を心がけることが最善の解決策です。