複数の原告が同一被告を共同で訴えることは可能?|裁判費用を抑える訴訟の基本知識

裁判費用の負担を軽減するために、複数の原告が1つの訴訟で被告を訴えられるのか気になる方は多いでしょう。特に、請求内容がそれぞれ異なる場合でも同一訴状で訴えることが可能なのか、民事訴訟法の観点から具体的に解説します。

● 原告が複数でも共同訴訟は可能

民事訴訟法上、複数の原告が一つの訴訟で共同して提起する「共同訴訟」は認められています。これにより訴訟費用や時間を節約できるメリットがあります。

ただし、共同訴訟には一定の要件があり、単に訴える相手が同じというだけでは足りないケースもあります。

● 訴訟形態の種類:必要的共同訴訟と任意的共同訴訟

共同訴訟には大きく分けて「必要的共同訴訟」と「任意的共同訴訟」があります。今回のようにそれぞれが異なる請求を持つ場合は「任意的共同訴訟」が該当します。

任意的共同訴訟は、事案の基本的な構造が共通しており、裁判所が同じ審理で扱うのが合理的と認められる場合に可能です。

● 任意的共同訴訟の成立要件

任意的共同訴訟が成立するためには以下の条件が必要とされます。

  • 訴えの種類が同一であること(例:損害賠償請求)
  • 管轄裁判所が同一であること
  • 審理が共通の証拠・法的論点を含むものであること

これらの条件を満たすことで、別々に訴訟を起こすのではなく、同一の訴状で裁判を行うことができます。

● 訴状の記載方法にも注意

訴状を作成する際には、各原告の請求内容や根拠を明確に分けて記載する必要があります。同じ被告であっても、それぞれの主張や証拠が異なる場合には、訴状内で整理しておくことが重要です。

また、裁判所によっては訴状の形式に厳格なルールを定めている場合もあるため、あらかじめ相談・確認を行うことが推奨されます。

● 実例:家賃滞納による複数オーナーの請求

たとえば、マンションの複数のオーナーが、同じ不動産管理会社に対して未払い家賃の支払いを求める場合、それぞれ異なる物件であっても契約内容や争点が共通しているケースでは任意的共同訴訟として認められる可能性があります。

その際、各オーナーごとの請求金額や事情を明確に記載することが求められます。

● 費用負担の観点から見る共同訴訟のメリット

訴訟費用(収入印紙代や郵便切手、証拠のコピー代など)は訴額に応じて決まるため、訴状をまとめることで基本的な手続費用を抑えられます。

また、審理回数の削減や弁護士費用の共同負担が可能となり、時間とコストの両面でメリットがあります。

まとめ

複数の原告が同一の被告を相手に共同で訴訟を提起することは、民事訴訟法により認められており、条件を満たせば可能です。特に任意的共同訴訟として訴状をまとめることで、裁判費用や手間の軽減につながります。

ただし、訴状の作成には注意が必要なため、事前に法的助言を得るか、弁護士に相談することをおすすめします。

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