異性間の身体接触はどこまでが違法?女性から男性への行為とわいせつ罪の境界線

わいせつ行為と聞くと、一般的には男性が女性に対して行うものというイメージがあるかもしれませんが、実際の法律上では性別に関係なく適用されるケースがあります。この記事では、女性が男性に対して行った身体接触が法的にわいせつに該当する可能性について解説します。

わいせつ行為の法的定義とは?

わいせつ行為は刑法第176条に基づき、「暴行または脅迫を用いて、または被害者の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした者」は処罰されると定められています。ここでの「わいせつな行為」とは、社会通念上、性的羞恥心を害するような行為を指します。

つまり、必ずしも性器への接触に限られず、胸や尻など性的な部位と捉えられる場所への不適切な接触も含まれる場合があります。

女性から男性への行為も処罰の対象になる?

結論から言えば、女性が男性の胸を触った行為が、状況によってはわいせつと見なされる可能性はあります。例えば、相手が嫌がっている、明らかに不快を示している、または職場や学校などの権力関係下で行われた場合は、わいせつ罪や強制わいせつ罪の成立要件を満たす可能性があるのです。

また、性別に関係なく、被害者が「性的な羞恥心を感じた」と主張することが重要なポイントとなります。

性的部位としての「胸」は男女で違う?

一般的には、女性の胸は性的部位と認識されやすいですが、男性の胸に関しては社会通念上そう捉えられにくい傾向にあります。しかし、それでも「個別の状況」によっては、男性の胸部がわいせつ行為の対象とされることもあります。

例えば、性的な意図をもって男性の胸を触った、もしくは挑発的な言動とセットで行われたなどの事情があれば、刑事責任を問われる可能性も出てきます。

実際の裁判例や事例は?

これまでに女性加害者・男性被害者という構図で立件されたわいせつ事件の数は極めて少ないですが、男女逆転した性犯罪が完全にあり得ないというわけではありません。過去には、介護や教育の現場などで、権力関係を利用した女性側の不適切な接触が問題視された事例も報告されています。

ただし、そうした事例が起訴や有罪判決に至るには、被害者の証言、現場状況、防犯カメラ映像、第三者証言など、明確な証拠が必要です。

民事上のセクハラ・損害賠償の対象にも

刑事事件に発展しない場合でも、民事上ではセクシャルハラスメントや人格権侵害として損害賠償請求の対象になる可能性があります。たとえば、職場で上司に触られた場合、会社側に安全配慮義務違反を問うことも可能です。

また、学校や施設などでの同様の行為についても、保護者が責任を追及するケースが存在します。

まとめ:行為の内容と状況が鍵を握る

女性が男性の胸を触る行為が一概にわいせつと判断されることは少ないものの、相手の意に反して性的な意図で触れた場合には、法的問題に発展する可能性があります。わいせつ罪においては性別よりも、行為の態様や相手の同意の有無が重要視されます。

そのため、たとえ軽い冗談や好意のつもりでも、相手が不快に感じていればトラブルの原因となるため、慎重な言動が求められます。

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