親族間トラブルや相続、財産分与などの民事紛争では、家庭裁判所での調停手続がよく利用されます。しかし、相手方が協議に応じなかったり、そもそも出席しない場合、調停は「不成立」となってしまうこともあります。この記事では、調停が不成立となった場合にどのような選択肢があるのか、特に簡易裁判所への提訴と「付調停制度」について詳しく解説します。
家庭裁判所での調停と不成立の意味
家庭裁判所で行われる調停は、裁判官と調停委員を交えて当事者同士が話し合い、合意による解決を目指す制度です。調停は柔軟な解決手段として有効ですが、当事者の一方が出席しない、または和解に応じない場合、最終的に「調停不成立」として終了します。
不成立の判断が下されると、家庭裁判所の調停では解決が困難であると見なされるため、次の法的手段に進む必要があります。
調停不成立後に再度の申し立てはできる?
家庭裁判所の調停が不成立になった場合、同じ事案での再調停は基本的に認められません。ただし、明確な状況の変化(たとえば相手方の態度軟化や新証拠の出現など)があれば、再度の申し立てが認められる可能性はあります。
とはいえ、原則として「不成立=打ち切り」となるため、次のステップを早急に検討することが重要です。
簡易裁判所に提訴するという選択肢
調停が不成立になった後は、通常の民事訴訟手続きに移行することが可能です。紛争の金額が140万円以下であれば、簡易裁判所に訴訟を提起できます。それ以上の場合は地方裁判所が管轄になります。
簡易裁判所は手続きが比較的簡素で、費用も抑えられるため、個人での訴訟提起がしやすいというメリットがあります。
付調停制度とは?裁判所が再び調停に付すことも可能
「付調停制度」とは、訴訟提起後に裁判所の判断で、その事件を改めて調停に付する制度です。特に家事事件や親族間紛争など、感情的対立が大きく長期化しがちな案件では、裁判所が話し合いによる解決を促すためにこの制度を活用することがあります。
つまり、調停が一度不成立となっていても、訴訟中に裁判所の判断で再び調停の場が設けられる可能性があります。
提訴前に検討したい他の方法
・弁護士による内容証明郵便や交渉
・民事調停(簡易裁判所で行われる調停制度)
・ADR(裁判外紛争解決手続)センターの利用
これらの方法も、相手方の反応を引き出す手段として有効です。特に弁護士名義の通知が届くと、相手方も態度を変える可能性があります。
実例:家庭裁判所→簡易裁判所→付調停へ
ある相続トラブルの事例では、家庭裁判所での遺産分割調停が不成立となった後、簡易裁判所に提訴。その後、裁判官の判断で付調停が行われ、最終的には和解に至ったというケースがあります。
このように、裁判手続きの中でも再び調停を経て柔軟に解決するルートは確かに存在します。
まとめ:調停不成立後も諦めず次の法的ステップを
家庭裁判所での調停が不成立となっても、それは終わりではありません。簡易裁判所への訴訟提起という次の手段があり、そこで「付調停」による再協議の可能性もあります。感情的な対立が激しい親族間の争いほど、法律的な枠組みに沿った冷静なアプローチが求められます。
不安な場合は一度、弁護士への相談を検討することも大切です。専門家のアドバイスを受けることで、あなたの権利を守る最善の道筋が見えてくるはずです。