バイクや車を売却したあとに名義変更が行われず、名義が自分のまま残っていた状態で事故が発生してしまうと、元の名義人に警察や関係機関から連絡が入ることがあります。このようなケースでは、売却者に責任があるのか、どのように対処すべきかについて悩む方が少なくありません。この記事では、名義残りによる事故に関する法律的な立場と具体的な対応方法を解説します。
名義変更されていない場合の法的な位置づけ
車検証や登録書類上の名義が変更されていない限り、法的には所有者として扱われます。つまり、事故が起きた場合、まずは名義人に責任が問われるリスクがあるということになります。
しかし、実際の所有者や使用者が他人であることを証明できれば、名義人が事故の民事責任や刑事責任を負うことは基本的にありません。重要なのは、所有権の移転が実際に行われていたという証拠を用意できるかどうかです。
譲渡書がある場合の証拠能力
譲渡書がある場合は、少なくとも所有権の移転意思があったことを証明する材料になります。口頭でのやり取りよりも、書面が存在することで信ぴょう性は高まります。譲渡書には「譲渡日」「譲渡人と譲受人の氏名」「車体番号」「押印」などが記載されていれば、証拠として一定の効力を持ちます。
ただし、譲渡書単体では名義変更手続きが完了していないことに変わりはないため、今後のリスク回避のためにも早期に名義変更を促す必要があります。
名義人として責任を問われる可能性があるケース
名義人が事故時に直接運転していなかった場合、通常は運転者の過失に基づいて処理されます。ただし、以下のようなケースでは名義人にも責任が及ぶ可能性があります。
- 売却相手が無免許運転であることを知っていた、または確認を怠った
- 名義人が保険契約の契約者で、被害者補償が必要な場合
- 第三者に対して、所有者として誤認されることでトラブルが発生した
とくに今回のように、売却相手が無免許であるという事実が後から判明した場合、その確認義務の有無が問われる可能性があります。
今後の適切な対応手順
名義が残っている状態で事故が発生した場合、次のような対応を取ることが望ましいです。
- 速やかに名義変更を行うよう相手に求める
- 名義変更がされない場合、自分で陸運局に相談し対処法を確認する
- 警察には譲渡の事実と譲渡書の存在を正確に伝える
- 相手が任意保険未加入であれば、自身の保険会社にも相談する
- 法的トラブルに備え、法テラスなどで弁護士に相談
特に、証拠が少ない場合でも、やり取りの記録や譲渡日などの情報を整理しておくことで、信ぴょう性を高めることができます。
まとめ|名義残りトラブルを防ぐために
バイクや車の譲渡時には、名義変更まで確実に行うことがトラブルを防ぐ最大のポイントです。今回のように口頭だけで売買が成立している場合、トラブル発生時には自らを守る証拠が必要になります。
譲渡書の作成や、名義変更の完了を確認するまでは、完全な譲渡と見なされないことを理解し、今後の売買では必ず書面と手続きをセットで行うようにしましょう。