現代では、誰もがスマートフォンを手放せない時代。通勤中や街中でもスマホを見ながら歩く“歩きスマホ”をする人が後を絶ちません。しかし、身近すぎて危険を感じにくいこの行為には、実は大きなリスクが潜んでいます。今回は、歩きスマホの本当の危険性や実際に起こった事故、法律的な観点からの注意点を詳しく解説します。
歩きスマホが危険とされる主な理由
歩きスマホが危険とされるのは、視野と注意力の著しい低下にあります。スマートフォンに集中していると、目の前しか見えていない「トンネル視野」のような状態になり、周囲の歩行者や障害物に気づきにくくなります。
さらに、聴覚もアプリ通知や音楽などに注意が向き、車や自転車の接近音にも気づきにくくなってしまうため、交差点や駅のホームなどでは特に危険です。
実際に起きている歩きスマホによる事故
歩きスマホによる死亡事故も実際に発生しています。たとえば、駅のホームから足を踏み外し、列車にはねられる事故や、交差点に気づかず車と接触するケースが報告されています。
また、軽傷で済んだとしても、他人にぶつかって転倒させたり、階段から落ちるなど、本人だけでなく周囲の人にも被害が及ぶ例が多く見られます。警察庁の資料によると、歩きスマホが原因での交通事故も年々報告件数が増加傾向にあります。
「注意していれば大丈夫」という思い込みが招く危険
「少しだけ見てるだけだから」「周囲の音は聞こえているから」と油断している人も多いですが、人間の脳は複数の注意を同時に向けることが非常に苦手です。
特に「ながら歩き」は視覚・聴覚・判断の全てを分散させてしまうため、咄嗟の状況に反応が遅れて事故に繋がる可能性が高まります。
歩きスマホが問題視される場所と罰則の可能性
日本国内では、現時点で「歩きスマホ」に直接罰金が課される法律はありませんが、鉄道会社や商業施設ではマナー違反として警告や注意喚起が行われています。
たとえばJR東日本では、駅構内での歩きスマホによる接触事故防止のため「歩きスマホ禁止エリア」の導入を進めています。また、万が一他人にケガを負わせた場合は「不法行為」として損害賠償請求を受けることもあります。
海外では法律で禁止されている地域も
海外では歩きスマホを法律で明確に禁止している地域もあります。たとえばアメリカ・ハワイ州ホノルルでは、横断歩道を歩いている間のスマホ使用が法律で禁止され、違反すれば罰金が科されます。
これは観光地として歩行者の安全を守るための先進的な取り組みであり、日本でも同様の動きが今後広がる可能性があります。
安全なスマホの使い方とは
スマホを使いたいときは、安全な場所に立ち止まってから操作することが基本です。また、歩行中は通知をオフにする、イヤホンの音量を下げるなど、自分の注意力が削がれないような工夫をすることも重要です。
最近では「歩行中の使用を感知すると画面がロックされるアプリ」なども登場しており、テクノロジーの力で事故を防ぐ方法も増えています。
まとめ:歩きスマホは身近な危険―意識と行動を変えよう
歩きスマホは、気軽な行為のように見えても、自分と他人の命を危険にさらす行動になり得ます。「少しだけだから」「注意しているから大丈夫」と思い込まず、安全な環境で使用する習慣を心がけましょう。
誰もがスマホを使う時代だからこそ、歩きスマホの危険性を正しく理解し、小さな心がけから大きな事故を防ぐ社会を目指すことが求められています。