個人で運営するハンドメイドショップなどに見積もりを依頼した後、正式な注文をしていないにもかかわらず、突然「発送予定だから入金してほしい」と言われて戸惑った経験はありませんか?本記事では、注文前の見積もり依頼の法的な位置づけと、支払い義務が発生するかどうかについて解説します。
見積もり依頼と注文確定の違い
まず大前提として、見積もりの依頼は「契約」ではありません。見積書を受け取っただけでは、注文が成立したとは見なされません。
たとえば「ご入金が5日以内にない場合はキャンセル扱いとなります」と明記されていた場合、それに従って未入金であれば、自動的にキャンセルとなるのが一般的です。
注文が成立するタイミングとは
法的に契約が成立するには、「申込」と「承諾」の意思表示が必要です。見積もりを確認した後、「その内容でお願いします」「注文します」など明確な意思を伝えていなければ、契約は成立していないと考えられます。
また、未入金の場合に自動キャンセルと書かれていれば、業者側もその規定に従う前提であるため、契約を盾に請求することは困難です。
代金請求されたらどう対応すべき?
発送前で、かつ正式な注文をしていない場合は、「注文の意思は示しておらず、支払う義務はない」と明確に伝えることが重要です。
この際、やりとりの履歴(SNSのメッセージ、メール、LINEなど)は保存しておくと安心です。トラブルがこじれた場合の証拠になります。
感情的な対応はNG。冷静かつ丁寧な返信を
相手も個人経営であることが多く、誤解や見落としで発送準備を始めてしまっている場合もあります。たとえ支払義務がないと感じても、「注文したつもりはありませんでした。発送はお控えいただきたく、申し訳ありませんがキャンセルをお願いします。」など、穏やかな表現で伝えるようにしましょう。
もし強い口調や法的措置を匂わせてくる場合は、消費生活センターへの相談も検討しましょう。
実際のトラブル事例と教訓
例えばSNS経由でアイシングクッキーを注文しようとしたAさんは、数店舗に見積もりを依頼しました。そのうち一店舗に返信をし忘れていたところ、「〇日に発送します。ご入金ください」と連絡が。注文の意思表示もなく、入金もしていないことから、丁寧に事情を説明してキャンセル扱いとなりました。
このようなケースでは、やりとりの証拠と、注文意思の有無が鍵となります。
まとめ:見積もり=契約ではないが、連絡は丁寧に
・見積もり依頼だけでは契約は成立しません。
・「注文の意思」が明確でなければ支払い義務は原則発生しません。
・未入金でキャンセル扱いとなる記載がある場合、そのルールが優先されます。
・連絡忘れに気づいたら早めにお詫びと事情説明を。感情的な返信は避けましょう。
万が一トラブルになった場合は、消費生活センターや弁護士相談も活用できます。