マンション売買後の設備故障における修補義務と新品交換の必要性

マンション売却後に取り付けていた食洗機が故障し、買主から修理や交換の請求を受けるケースがあります。特に、契約書に「免責引き渡し日から7日間は売主の修補が伴う」と記載されている場合、売主の修補義務が問題となります。この記事では、売買契約における修補義務の範囲と、新品交換の必要性について解説します。

契約不適合責任とは?

2020年4月1日に施行された改正民法により、「瑕疵担保責任」が廃止され、「契約不適合責任」が新たに導入されました。これにより、売主は引き渡した物件が契約内容に適合しない場合、買主に対して修補・代金減額・損害賠償・契約解除などの責任を負うこととなりました。

売主の修補義務の範囲

売主の修補義務は、契約内容に適合しない部分を修理することが求められます。例えば、食洗機が故障している場合、修理によって正常に動作する状態に戻すことが義務となります。ただし、設備が中古品である場合、修理が不可能な場合も考えられます。

新品交換の必要性

設備が経年劣化により修理不可能な場合、買主が新品への交換を求めることがあります。しかし、売主の責任はあくまで修理可能な範囲に限られます。裁判例では、「本件給湯器は中古品であるから、本件瑕疵と相当因果関係が認められるのは、中古品の給湯器への交換費用相当額に限られる」とされています。つまり、新品への交換は必ずしも義務ではなく、中古品相当の費用負担で済む場合があります。

仲介業者の責任

不動産仲介業者は、物件の状態について買主に説明する義務があります。設備の不具合が明らかであった場合、仲介業者がその情報を買主に伝えていなかった場合、仲介業者にも責任が問われる可能性があります。

まとめ

マンション売買後の設備故障において、売主の修補義務は契約内容に適合しない部分を修理することに限られます。設備が修理不可能な場合でも、新品への交換は必ずしも義務ではなく、中古品相当の費用負担で済む場合があります。契約書の内容や設備の状態、仲介業者の対応などを総合的に考慮し、適切な対応を検討することが重要です。

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