遺産分割協議書を作成する際に、土地と建物を別々に扱うことについて悩んでいる方も多いでしょう。特に、複数の相続財産がある場合に、どのように分割協議を進めればよいのか、法的なルールや実務的な視点で解説します。
1. 土地と建物で別々の遺産分割協議書を作成することは可能
遺産分割協議書は、相続財産ごとに作成しても問題ありません。土地と建物は異なる不動産であり、相続人が異なる形で分けることも考えられるため、別々の協議書を作成することが一般的です。特に、今回のケースのように「長男が土地と建物を相続することで合意済み」とある場合、分割内容がクリアであれば、それぞれの相続財産について別々に記載するのが合理的です。
ただし、後々の混乱を避けるため、協議書には「土地と建物を長男が相続する」旨を明確に記載しておくことが大切です。
2. 一つの遺産分割協議書でまとめる場合の注意点
土地と建物を一つの遺産分割協議書にまとめることも可能です。その場合、協議書内で「土地は一郎が相続」「建物は一郎が相続」と明記し、相続人全員が同意して署名・押印することが必要です。ただし、土地と建物の価値が大きく異なる場合や、相続人間で意見が分かれる場合は、それぞれの財産ごとに協議書を分ける方がスムーズです。
また、分けて作成した場合でも、最終的には全ての相続財産を統一した形で法的に有効な分割協議書としてまとめる必要があります。
3. 土地・建物の名義変更手続きについて
遺産分割協議書が作成された後、土地や建物の名義変更手続きが必要になります。土地については「法定相続分」ではなく、「協議に基づく分割」に従って名義変更が行われます。建物も同様に、新たな名義人に対して所有権移転登記を行うことが求められます。
また、土地や建物に関連する税金(相続税や登録免許税など)についても確認しておくことが大切です。
4. まとめ
土地と建物について別々に遺産分割協議書を作成することは十分に可能であり、実際に多くのケースで行われています。それぞれの財産の状況や相続人間での合意に基づいて、柔軟に対応することが重要です。最終的には、すべての相続財産に対して統一的な協議書を作成し、名義変更手続きを進めていきましょう。
もし不安が残る場合は、専門家(弁護士や司法書士)に相談して、適切な手続きを踏むことをお勧めします。