新型コロナウイルスを「指定感染症」に定めた理由と法的な取り扱いについて

新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)がなぜ「新型インフルエンザ等感染症」として法的に定められなかったのかについて、疑問を持つ方も多いです。さらに、指定感染症として定められた後、その取り扱いについても混乱が生じているようです。この記事では、新型コロナウイルス感染症の法的な位置づけとその理由、そして「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の適用範囲について解説します。

1. 新型コロナウイルス感染症が「指定感染症」として定められた理由

新型コロナウイルスは、初めてその感染が広まり始めた段階から急速に世界的なパンデミックとなり、迅速な対応が求められました。日本では、感染拡大を防止し、適切な対策を講じるため、まず「指定感染症」として法的に定められました。

「指定感染症」とは、感染症法に基づき、特に注意が必要な感染症として位置づけられた病気で、流行の拡大防止を目的に、感染者の報告義務や監視体制、感染拡大防止のための隔離措置などが求められます。新型コロナウイルスは、他の感染症と比べてその感染力や重篤化の可能性が高いため、指定感染症に指定されることは必然的な措置でした。

2. なぜ「新型インフルエンザ等感染症」ではなかったのか?

新型コロナウイルスが「新型インフルエンザ等感染症」に定められなかった理由は、法的な枠組みとその対応範囲に関する違いが影響しています。「新型インフルエンザ等感染症」は、特に「新型インフルエンザ」のような急激な流行を想定して制定された法律です。しかし、新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスとは異なる性質を持っており、感染拡大のスピードやその特性が異なります。

そのため、急激な広がりを防ぐための対策としては、指定感染症としての分類が適切であり、既存のインフルエンザ対策に関連した法律の適用を避ける形で、新たに規定されたということです。

3. 「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の適用について

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」は、新型インフルエンザのパンデミックを想定して制定された法律で、発生から感染拡大の防止措置までを詳細に定めています。この法律は、特に新型インフルエンザのような特異な状況に対応するためのものですが、感染症法第六条第七項では、新型インフルエンザ等対策特別措置法が適用されるのは、法律で定められた感染症に対してのみです。

そのため、現時点で新型コロナウイルスが「新型インフルエンザ等感染症」に該当しないことから、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」は適用されず、その代わりに感染症法に基づく別の対応が取られることとなっています。

4. 改正後の新型コロナウイルス感染症の位置づけ

令和3年2月3日には、改正により新型コロナウイルス感染症が正式に新型インフルエンザ等感染症の範囲に含まれることが決まりました。この改正により、新型コロナウイルスへの対応がさらに強化され、他の感染症との整合性も取られることとなりました。

新型コロナウイルスが「新型インフルエンザ等感染症」に定められたことで、今後は感染症法を軸にした法的枠組みのもと、対策が強化されることが期待されています。

5. まとめ: 新型コロナウイルスの法的取り扱い

新型コロナウイルスが「指定感染症」に定められた理由は、その感染力や影響力を考慮したうえで、迅速な対応が求められたためです。一方で、「新型インフルエンザ等感染症」としてではなく、別の枠組みで対策が講じられたのは、法律の適用範囲と感染症の特性の違いによるものです。

現在、新型コロナウイルスは感染症法に基づいて適切に対応されていますが、今後の状況を踏まえ、さらに強化された対応が期待されます。

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