木造解体工事では足場や養生シートの設置が不可欠ですが、強風による倒壊などで隣家に被害が出た場合、「作業した人の責任か、それとも会社の責任か」は大きな問題になります。特に無資格で足場作業を行っていたケースでは、労働安全と民事責任の両面から検討されることになります。
足場作業は法律上「資格が必要な業務」
一定規模以上の足場の組立て・解体・変更作業には「足場の組立て等作業主任者技能講習」を修了した作業主任者の選任が義務付けられています。これは労働安全衛生法に基づく安全管理のルールです。[参照]
そのため、無資格者のみで作業を行わせていた場合、まず会社側の安全配慮体制そのものが問題視される可能性があります。
第三者に被害が出た場合の基本は「会社責任」
工事中に隣家の外壁や車などを損傷させた場合、民法上は「不法行為責任」が問題になります。そして従業員が業務中に起こした事故については、会社が責任を負う「使用者責任」という考え方があります。[参照]
つまり、現場で作業したのが個人であっても、それが会社の業務として行われていれば、被害者に対する賠償は会社が負うのが原則です。
無資格だったことは責任判断に影響する?
無資格作業は安全管理義務違反として評価されやすく、会社の過失が重く見られる要素になります。例えば、突風で養生が飛散した場合でも、「適切な施工・固定がされていたか」「作業体制が法令に沿っていたか」が問われます。
必要な資格者を置かずに作業していた場合、単なる自然災害ではなく予見可能なリスクへの対策不足と判断される可能性が高まります。
作業者個人の責任はゼロなのか
理論上は、重大な過失や故意がある場合、作業者個人が責任を問われることもあります。ただし、通常の業務中のミスであれば、被害者への賠償はまず会社が行い、その後社内での求償(会社が従業員に一部負担を求める)が問題になる構造です。
判例上も、従業員に全額負担させることは制限的に考えられる傾向があります。
現実の現場で重要になるポイント
事故後に確認されやすいのは次の点です。
| 項目 | 見られる内容 |
|---|---|
| 資格体制 | 作業主任者の選任状況 |
| 施工方法 | 養生の固定方法や強風対策 |
| 会社の管理 | 安全教育や指示体制 |
これらが不十分だと、会社の管理責任が重く判断されやすくなります。
まとめ:対外的責任は会社、無資格は不利要素
足場養生の無資格作業中に事故が起きた場合、第三者への賠償責任は原則として会社が負う構造になります。そして無資格での作業は、会社側の安全管理違反として不利に働く可能性があります。
作業者個人の責任が問題になることもありますが、基本は会社の業務としての事故として扱われるため、法令に沿った資格体制と安全管理が極めて重要になります。