捜索願不受理届という言葉はあまり耳慣れないかもしれませんが、これは他者から出された捜索願に対して「自分を探さないでほしい」と意思表示するための手続きです。主に家出や自発的な失踪を選択した成人が、警察の関与を望まない場合に使われる制度です。
捜索願不受理届とは何か
捜索願不受理届とは、本人の意思によって提出される「警察に自分の捜索をさせないようにする」ための届出です。これは失踪した本人が、事情があって家族や関係者に自分の所在を明かしたくないときに用いるものです。たとえば、家庭内トラブルやDVから逃れる目的での自主的な避難などが該当します。
この届出を提出すると、警察は基本的に捜索活動を行わず、捜索願も受理しない対応を取る場合があります。ただし、事件性や緊急性が認められるケースでは、状況に応じて介入される可能性があります。
不受理届が受理されるケース
捜索願不受理届が警察に受理されるためには、一定の条件が必要です。特に重要なのが「本人が自発的に失踪しているかどうか」です。
- 本人が20歳以上の成人であること(未成年は原則対象外)
- 本人が自発的な意思で所在を隠していると判断されること
- 明確な事情説明と本人確認ができること(身分証明書が必要)
- DVやストーカー、家庭内の人権問題など、緊急性のある事情があること
たとえば、過去に配偶者から暴力を受けていた女性が避難しているケースや、精神的な理由で家族との関係を断っているような状況であれば、警察は本人の保護を優先して不受理届を受け入れることがあります。
不受理届が受理されないケース
一方で、不受理届が受理されないパターンも存在します。以下のようなケースが代表的です。
- 未成年者である場合(保護責任者の権限が優先)
- 事件性・犯罪性が疑われる場合(拉致、誘拐、詐欺被害など)
- 精神疾患や自殺の恐れがある場合
- DVやストーカー被害の裏付けがなく、状況の正当性が確認できない場合
このようなケースでは、警察が安全確保や事件捜査を優先し、不受理届を受理しない判断をすることがあります。
提出に必要なものとアドバイス
不受理届を提出する際には、以下の準備が必要です。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 提出理由の説明(簡潔かつ具体的に)
- 最寄りの警察署や交番での面談が必要となる場合もある
提出前には、できれば事情に詳しい警察署の生活安全課に事前連絡しておくことをおすすめします。特に緊急性がある場合は、事情をしっかり説明し、支援を求める姿勢を示すことが重要です。
また、DVやストーカー被害の場合は、警察だけでなく、各自治体の女性相談窓口や弁護士など専門家に相談することで、より安全に自分の身を守る手段が得られます。
まとめ:不受理届は自己決定の権利の一環
捜索願不受理届は、自分の意思で身を隠す人にとって、プライバシーを守るための制度です。しかし、全てのケースで受け入れられるわけではなく、警察は事件性や緊急性を見極めて判断します。大切なのは、しっかりと状況を説明し、自分の安全と意思を伝えることです。
迷っている方は、信頼できる第三者に相談した上で、冷静に判断しましょう。制度の正しい理解と適切な活用が、安心につながります。