深夜の道路で暴走族に絡まれるという経験は、想像以上に恐怖とストレスを伴うものです。もし相手が攻撃的な態度をとってきた場合、私たちはどのように行動すべきなのでしょうか?この記事では、「正当防衛」の法律的な要件や実際の対応方法について解説します。
正当防衛とは何か?
正当防衛とは、刑法第36条で規定された自己または他人の権利を守るためにやむを得ず加害行為に出た場合、その行為が罪に問われない制度です。
具体的には、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 急迫不正の侵害が存在する
- 自己または他人の権利を防衛するためである
- 防衛行為が必要かつ相当である
これらの要件をひとつでも欠くと、正当防衛は成立しません。
「急迫不正の侵害」とはどういう状態か?
「急迫」とは今にも被害が発生しそうな切迫した状況であり、「不正の侵害」とは法律上許されない暴力や攻撃を指します。つまり、相手が実際に暴力を振るおうとしている、またはすでに振るっている状態です。
たとえば、複数人の暴走族に囲まれ、一人がヘルメットに頭突きを繰り返してきた場合、その行為は「急迫不正の侵害」に該当する可能性があります。
正当防衛が認められる具体的なケース
過去の判例では、以下のような場合に正当防衛が成立しています。
- 複数人に囲まれ、身動きが取れず暴力を受けそうになったため、とっさに相手を押しのけた
- 相手が凶器を取り出し、すぐに襲ってこようとしたため、先に腕をつかんで制止した
ただし、相手がまだ手を出していない段階でこちらが先制攻撃をした場合、過剰防衛や単なる暴行罪として扱われる可能性もあります。
「挑発」は正当防衛の妨げになる?
相手を挑発したり、わざと怒らせるような発言をしていた場合、それは「自招行為」として正当防衛の成立を妨げる要素になります。法律上は、「自ら招いた危険に対する防衛行為」は正当防衛として認められにくくなります。
たとえば、「殴りたいなら殴ればいい」と挑発したと受け取られるような発言をした場合、相手の攻撃を誘導したと判断される可能性もあるため注意が必要です。
暴走族に絡まれたときの適切な対処法
暴走族や不良集団に絡まれた場合、次のような対応が望ましいです。
- 冷静に距離を取り、刺激しない
- 危険を感じたらすぐに110番通報する
- 万一手を出されそうになった場合は、防衛行為は最小限にとどめる
- 行動を録音・録画することが後の証拠になります
警察や第三者による介入がない限り、相手とのトラブルをエスカレートさせないことが最も重要です。
まとめ:自己防衛は「冷静な判断」と「証拠」が鍵
暴走族に囲まれたような緊迫した状況でも、正当防衛が成立するには法的な要件を冷静に満たしている必要があります。挑発や過剰な反応は、かえって自らの不利につながることもあるため、慎重な判断が必要です。
身を守るには、まずは危険を回避し、必要に応じて法的措置をとる姿勢が大切です。防犯意識と法律知識を持つことで、万が一のトラブルにも適切に対処できるでしょう。