誹謗中傷と名誉毀損は違う?意見照会書が届くまでの流れと誤解されがちな法的ポイント

インターネット上で「誹謗中傷は違法ではない」といった発言や、「意見照会は届かないこともある」という断定的なコメントを見かけることがあります。しかし、法的に正しいかどうかを知らずに信じてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。この記事では、誹謗中傷と法律との関係、そして意見照会書の送達についてわかりやすく解説します。

誹謗中傷と違法性の関係:誤解されがちな点

「誹謗中傷そのものは違法性がない」という主張は一部正しくもあり、一部誤解も含まれています。法律上、誹謗中傷という言葉自体に明確な定義はありませんが、実際には以下のような罪に該当する可能性があります。

  • 名誉毀損罪(刑法230条):事実の摘示によって社会的評価を低下させた場合
  • 侮辱罪(刑法231条):事実を示さず名誉を害する発言をした場合
  • 信用毀損・業務妨害罪(刑法233条):虚偽の情報で信用や業務を妨害した場合

つまり、「誹謗中傷」という表現が法律に明記されていないだけで、内容次第では違法になることがあります。

裁判での開示例は実在する

実際、インターネット掲示板での投稿について名誉毀損が認められ、発信者情報の開示が認められた裁判例は多数存在します(例:東京地裁平成30年9月20日判決など)。これにより、投稿者のIPアドレスや個人情報が開示される可能性があることは事実です。

「開示された裁判は一件もない」といった主張は誤りであり、開示請求が認められる条件を満たせば開示される実例は多数報告されています。

意見照会書が届くまでの期間と意味

プロバイダ責任制限法に基づく手続きでは、投稿者の発信者情報を開示する際にプロバイダから「意見照会書」が送られます。これは開示される側に対して、自分の意見を述べる機会を与えるものです。

この書類は、通常は弁護士による申立てから2週間~1ヶ月以内に送付されるケースが多いです。ただし、手続きの進捗や混雑状況によって、もっと遅くなることもあります。「1日から永久に届かない」というのは法的な説明ではなく、非現実的な表現です。

ログ保存期間と早期対応の重要性

プロバイダが保持するアクセスログ(IPアドレスなど)には保存期間があり、多くの場合3ヶ月から6ヶ月とされています。この期間を過ぎると、発信者を特定することが難しくなります。

開示請求を検討している場合は、投稿を発見したらすぐにスクリーンショットなどの証拠を保存し、弁護士に相談することが望まれます。

まとめ

誹謗中傷という言葉自体は法律に記載されていませんが、その中身が名誉毀損や侮辱に該当すれば違法と判断され、開示請求が認められる可能性があります。また、意見照会書は通常は数週間以内に届き、届かないことが必ずしも正しいとは言えません。法的な誤解に惑わされず、正しい知識を持って対応することが重要です。

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