内容証明郵便は、法律的な請求や意思表示を相手に明確に伝えるための手段として広く使われています。ところが、相手側が『弁護士に相談したが無視してよいと言われた』と伝えてきた場合、果たしてそのような対応は実際に法的観点からあり得るのでしょうか。本記事では、弁護士の対応の実態や虚偽の可能性について詳しく解説します。
内容証明郵便とは何か?
内容証明郵便とは、日本郵便が郵送内容の文面と送付日を証明してくれる制度です。たとえば、債権回収や契約解除の通知、名誉毀損の警告などに用いられます。
重要なのは、内容証明自体には法的な強制力はなく、あくまで『証拠』としての意味を持つ点です。受け取った側が返答する義務はありませんが、放置すれば訴訟のリスクがあることも理解しておくべきです。
弁護士が『無視しろ』と助言するケースはあるのか?
弁護士は、内容証明を受け取った依頼者の代理として、その対応を検討します。相手の主張が法的に無効または根拠が乏しいと判断される場合、あえて反応しない戦略を取ることは確かに存在します。
たとえば、脅迫まがいの文面や法的に不当な請求であれば、無視しても依頼者に不利益が生じないと判断されるケースもあります。しかしこの判断には高度な法的分析が必要であり、無視をすすめる場合でもその旨を明確に書面で残すことが通常です。
弁護士が本当に関与しているか見極める方法
相手が「弁護士に頼んだ」と主張していても、本当に弁護士が関与しているかは不明です。確認する方法の一つは、弁護士名と所属弁護士会を尋ねることです。実際に受任している弁護士であれば、連絡先や対応方針が明示されるのが通常です。
また、内容証明に対して返信が来る際には、弁護士名義の文書(内容証明または受任通知)で送られるのが一般的です。匿名のまま「弁護士が言っていた」と伝聞的に伝えるだけなら、嘘の可能性も否定できません。
実例:弁護士の戦略としての無視とそのリスク
過去の判例や実務でも、弁護士が無視を助言した例はありますが、それは明確に『相手方に反論の余地がない』と判断したときです。逆に言えば、請求に正当性がある内容証明を無視することは依頼者にとってリスクが高く、推奨されません。
たとえば、賃料滞納の通知や損害賠償請求などは、内容証明の放置が訴訟リスクや遅延損害金の増加に直結します。弁護士が無視を指示する際には、その後の訴訟リスクについても説明する責任があります。
まとめ:相手の主張を鵜呑みにせず、冷静な確認を
「弁護士が無視しろと言っていた」という言葉だけでは、実際に弁護士が関与しているのか、そして法的に無視して良い内容なのかは判断できません。内容証明を送った側としては、記録を残しつつ、場合によっては自分も弁護士に相談して対応方針を明確にすることが望ましいです。
法的なトラブルの多くは、初動での情報不足や誤解から悪化することが多いため、確実な確認と法的根拠に基づいた対応が重要です。