インターネットでの個人間取引やネットショップ購入の際に、PayPayなどの送金サービスを使うことが一般化しています。しかし、その利便性の裏で「先に送金したが商品が届かない」「返金されない」といった詐欺被害も報告されています。今回は、PayPayを通じて送金したあとに返金されないケースで、どのような対応をすべきかを整理して解説します。
PayPay送金は原則「自己責任型」取引
PayPayでの「送金」は銀行振込と同様に、一度相手に送金されると原則としてキャンセルや返金の強制ができません。これは、送金機能が「対価の支払い」ではなく「個人間送金(ギフトや立替など)」という建付けだからです。
そのため、PayPayは原則として売買の保証や仲介を行わず、「相手との合意による返金」に委ねられることになります。
返金されないときに取るべきステップ
返金を求めても相手が応じない場合、以下のような対応を順に検討しましょう。
- 取引履歴・やり取りのスクリーンショットを保存
- PayPayアプリの「ヘルプ・お問い合わせ」から報告
- 消費者ホットライン(188)に相談
- 最寄りの警察署へ被害届の相談・提出
特に詐欺の疑いがある場合は、早期に警察へ相談することが最も重要です。時間が経つほど立証が難しくなるため、証拠はすぐに確保しましょう。
「返金します」のメールが届いたが音信不通…これは詐欺?
「在庫切れなので返金します」と言われたにもかかわらず、その後返金も連絡もない場合、詐欺的な取引である可能性が高くなります。
法律上、最初から商品を送る意思がなかったり、返金するつもりがないのに「返金する」と言って時間稼ぎをする行為は、詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があります。
警察に被害届を出す際のポイント
被害届は口頭ではなく、書面で提出するのが基本です。スムーズに受理してもらうためには、次のような資料が必要になります。
- PayPayの取引履歴(送金日時・金額・相手ID)
- メールやSNSなどのやり取りログ
- 詐欺と疑われるWebサイトやスクリーンショット
- 相手の出品・活動履歴がわかる情報(可能な限り)
相談時は「被害届」「刑事告訴」「民事請求」など、用語を明確に使うと相手にされやすくなります。
被害回復の手段はある?民事手続きや少額訴訟
詐欺の立証が難しい場合や、警察で対応してもらえなかった場合には、民事での損害賠償請求が選択肢になります。特に金額が60万円以下であれば、簡易裁判所での「少額訴訟」制度が活用できます。
また、相手の氏名・住所などがわかっていれば、内容証明郵便で返金請求を送ることも効果的です。
トラブルを避けるために今後気をつけるべきこと
今回のようなトラブルを未然に防ぐには、信頼性のある販売元・決済方法を選ぶことが大前提です。
- 匿名サイトや連絡先不明のWebショップは避ける
- 購入前に販売元の住所・運営者・利用規約を確認する
- クレジットカードやECモールを通じた購入を選ぶ(返金制度がある)
特に送金系アプリは「支払い保証がない」ことを理解し、自己防衛意識を高めましょう。
まとめ:返金されない場合はすぐに証拠を確保し、警察や消費者機関へ相談を
PayPayで送金後に返金がない、連絡も取れないという場合は、詐欺の可能性を視野に入れて、迅速に行動することが重要です。
「返金すると言われたが送られない」「請求しても無視される」などのケースでは、証拠をそろえて、警察・消費者センター・法的手続きを通じて被害回復を目指すことが現実的な対応となります。