ドライブレコーダー映像を改ざんして提出したらどうなる?追突事故での過失と偽造の刑事責任を解説

テレビ番組「突破ファイル」で放送された追突事故の事例では、後方車両のドライバーがドライブレコーダーの映像を改ざんし、「赤信号で停車中」だった被害車両が「青信号で走行中」だったように偽装して警察に提出したとされます。このような行為が発覚した場合、交通事故としての過失責任に加え、刑法上の重大な罪に問われる可能性があります。本記事では、こうしたケースにおける法的評価と加重される刑罰について詳しく解説します。

交通事故としての基本的な過失責任

赤信号で停止中の車両に後方から追突した場合、その責任は原則として追突した側(後方車両)に100%あるとされます。これは、道路交通法に基づく「前方注視義務」および「安全運転義務」を怠ったことに起因するためです。

このような追突事故では、民事上の損害賠償義務(車両修理費、治療費、慰謝料など)および、場合によっては過失運転致傷罪として刑事責任が問われる可能性もあります。

映像改ざんの法的リスク

ドライブレコーダーの映像を編集・加工して、虚偽の内容に改ざんしたものを警察や裁判所に提出した場合、以下の刑事罰の対象になる可能性があります。

  • 私文書偽造罪(刑法第159条)または偽計業務妨害罪(刑法第233条):虚偽の映像により捜査機関を欺いたとされると適用されます。
  • 証拠隠滅罪(刑法第104条):虚偽の証拠を提出することで、事実解明を妨害した場合に該当します。
  • 公務執行妨害罪(刑法第95条):警察の正当な職務を妨げたとみなされるケース。

特に証拠隠滅罪は、3年以下の懲役という比較的重い刑罰が科される可能性があり、悪質性が高い場合は実刑判決も考えられます。

過去の事例と処分内容

実際に発生した類似の事件として、事故現場の映像を編集し、他人に責任転嫁しようとした加害者が、偽造の意図が認定され、執行猶予付きの懲役刑を受けた事例があります。

また、虚偽の映像が損害賠償請求に用いられた場合には、民事訴訟においても詐欺的手法として悪質性が認定され、損害賠償額が加重された例も存在します。

なぜ映像改ざんが重大視されるのか

現代においてドライブレコーダーの映像は「客観的な証拠」として裁判や捜査で広く活用されています。そのため、その映像を改ざんすることは証拠全体の信頼性を損なう行為とされ、司法秩序の根幹を揺るがす行為として非常に重大視されます。

警察・検察においても、映像提供の際に不自然な編集やフレーム欠損などがあれば、解析を行い、偽造の有無を調査する体制が整備されています。

まとめ

ドライブレコーダー映像を改ざんして警察に提出した場合、それがたとえ軽微な交通事故であったとしても、刑法上の犯罪に該当する可能性が高く、懲役刑や公的信用の失墜など、重大な結果を招くおそれがあります。事故が起きた際には、誠実に事実を報告することが最善の選択肢であり、不正に手を染めることは決して許されない行為です。

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