多重事故で巻き込まれた場合の過失割合と責任の所在を解説|停車中の車が原因?後続車?

交通事故の中でも特に判断が難しいのが「多重事故」に関わるケースです。たとえば、停止中の車に後続車が追突し、その衝撃で前の車がさらに第三者にぶつかってしまったというような状況です。本記事では、実際に京都で発生したとされる、プリウスが停止中に追突されて自転車にぶつかったという事例を参考に、過失割合や法的責任について詳しく解説します。

ケースの概要とよくある構図

このような事故は「玉突き事故」や「追突の連鎖」として扱われます。典型的な構図としては以下の通りです。

  • 車A:前方で停止していた車(今回はプリウス)
  • 車B:車Aに追突した後続車
  • 第三者:車Aがぶつかってしまった自転車や歩行者

このような三者間の事故では、基本的に事故の“発端”となった後続車(車B)に重い責任が問われる傾向にあります。

法律上の過失責任の考え方

日本の民法では、交通事故においては「加害者に過失があれば損害賠償責任を負う」と定められています(民法709条)。このため、停止中の車が他者に衝突してしまったとしても、それが自らの運転ミスではなく、後方からの追突による“やむを得ない状況”であれば、過失がない(または非常に軽微)と判断されることが多いです。

実際に裁判例でも、追突された側の運転者には基本的に責任はないとされる事が多く、追突してきた車の運転者が、一括して損害賠償義務を負うのが一般的です。

プリウスは責任を問われるのか?

このようなケースでは、プリウス側(つまり停止していた車)の運転者に責任が発生することはほとんどありません。なぜなら、自分の意思で動いたわけではなく、後方からの衝突の衝撃で前方へ押し出されたに過ぎないからです。

よって、仮にプリウスが自転車に乗っていた人を跳ねてしまったとしても、法律上は「直接的加害者」ではなく、「巻き込まれた被害者」として扱われることになります。

後続車(加害車両)の責任はどうなる?

後ろから追突した車(加害車両)には、前方不注意・車間距離保持義務違反などの過失が問われます。たとえ天候が悪かった、前の車が突然停止したなどの理由があっても、十分な車間距離を取っていなかった場合、過失があると判断されるのが通例です。

このため、自転車の被害者に対しても、後続車のドライバーが民事上の責任を負うことになります。

被害者(自転車側)は誰に請求すればいいのか?

自転車に乗っていた人がケガをした場合、加害者に対して損害賠償請求を行うことができますが、こうした場合の「加害者」は事故の原因を作った後続車になります。プリウスの運転手ではなく、追突してきた車の保険会社に連絡を取り、治療費や慰謝料などの補償を求めるのが正しい流れです。

また、事故状況に争いがある場合は、実況見分調書や防犯カメラ映像などが重要な証拠となります。

まとめ:多重事故の責任の所在は「原因」に注目

多重事故では、「誰が事故の原因を作ったか」が責任の判断における最も重要なポイントです。停止中のプリウスが後ろから追突されて動いた結果、第三者に接触してしまった場合、その責任は基本的には追突した車にあります。

つまり、プリウスの運転者は加害者ではなく被害者であり、第三者(自転車の人)に対する損害も後続車の運転者が賠償すべきというのが法的な一般原則です。

事故に巻き込まれた際は、状況をしっかり記録し、警察と保険会社に正確な情報を伝えることがトラブル回避の鍵となります。

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