インターネットで得た画像や情報を気軽に共有できる時代ですが、他人の顔写真を無断で投稿する行為には法的リスクが伴います。特に犯罪者とされる人物の画像を転載する場合、「正義感」や「公益性」を理由にしても、一定のラインを越えると違法行為と見なされる可能性があります。この記事では、ネットにあった顔写真を転載することのリスクと、どのようなケースで罪に問われるかを分かりやすく解説します。
顔写真の無断転載に関係する主な法律
まず、他人の顔写真を無断で掲載する場合に関わる法的根拠として、以下の法律が挙げられます。
- 著作権法:報道機関などが撮影・掲載した画像には著作権があり、無断転載は原則違法
- 肖像権(判例上の人格権):本人の許可なく顔写真を公開する行為は、肖像権の侵害に該当する可能性がある
- 名誉毀損・プライバシー権:たとえ事実であっても、本人の社会的評価を不当に下げるような場合は名誉毀損に
これらの法律は、被害者が実際に犯罪者であったとしても、自動的に免責されるものではありません。
「犯罪者の顔写真」だからといって許されるわけではない
ニュース記事や警察発表などで公開された犯罪者の写真でも、その利用には制限があります。報道目的での掲載は一定の公益性が認められますが、一般ユーザーが私的判断で転載することは、その範囲に含まれません。
たとえば、「Yahoo!知恵袋」やSNSで「この人が〇〇事件の犯人です」として写真を貼り付けた場合、掲載元が明示されておらず、文脈によっては名誉毀損や侮辱罪に問われるリスクもあります。
実際に起こった類似のトラブル例
過去には、未成年による事件の加害者情報を「拡散目的」でSNSに投稿し、後に名誉毀損で訴訟された例もあります。また、冤罪や誤認で別人の画像を転載してしまった場合は、さらに重大な法的責任が問われることになります。
このような事例では、投稿者が「善意」や「正義感」で行ったと主張しても、法的には免責されません。
どうしても掲載したい場合の注意点
公益性のある報道や検証目的で顔写真を使いたい場合には、以下のような手順を踏むことで、リスクを減らすことができます。
- 掲載元(ニュースサイトなど)へのリンクを添える
- 出典を明記する
- 本人特定が困難なようにモザイクやぼかしを入れる
ただし、これらを講じても名誉毀損や肖像権侵害を完全に回避できるわけではありません。
まとめ:個人判断での写真転載は慎重に
ネットで簡単に得られる情報でも、第三者の顔写真を無断で転載することは法的にリスクが高く、場合によっては刑事事件に発展することもあります。特に「犯罪者だから大丈夫」といった認識は危険です。
情報を広める際には、法的責任や名誉毀損リスクを十分に理解し、安易な投稿を避けましょう。必要があれば、法的助言を得ることも選択肢の一つです。