自賠責保険における後遺障害等級認定は、交通事故の損害補償において非常に重要なステップです。特に、地方の算出機構で受け付けた案件が東京本社へ送付されるケースでは、「認定に不利なのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。この記事では、稟議に関する流れや本社に回る理由を含め、認定プロセスについて詳しく解説します。
後遺障害等級認定の基本的な流れ
自賠責保険に基づく後遺障害の認定は、一般社団法人損害保険料率算出機構(通称:算出機構)によって行われます。申請者は、医師の診断書や後遺障害診断書を提出し、それに基づき等級が判断されます。
通常は地方事務所(例:北海道支部)で審査が開始され、原則的な内容や明らかに等級が判断できるものはそこで完結します。しかし、判断が難しいケースや追加審査が必要とされる場合には、東京本社へ稟議(社内決裁)として送られることがあります。
本社への稟議送付が意味すること
本社に送付されたからといって、必ずしも認定が微妙であるとは限りません。以下のような事情で本社確認が必要となるケースがあります。
- 等級認定の基準に照らして判断が分かれるケース
- 医療資料の内容が専門的・複雑である場合
- 損害調査部門の最終判断を仰ぐ必要がある場合
つまり、本社への稟議は「最終確認」または「より高い専門的判断」を要するという意味合いが強く、否定的なサインではありません。
行政書士や専門家を通じた申請のメリット
後遺障害認定においては、書類の整備と医療資料の質が極めて重要です。行政書士を通じて申請している場合、多くは専門知識を活用して診断書や画像資料の補完を行っており、正確かつ有利な形で書類が整っていることが期待されます。
とはいえ、等級判断は算出機構内部の審査基準によるため、専門家を通じていても本社稟議となることは珍しくありません。
進捗確認のタイミングとポイント
申請後、2週間程度で「東京本社に稟議送付」という情報が返ってくるのは、比較的スムーズな流れといえます。実際の決定までは、通常1〜2ヶ月かかることが多く、稀にそれ以上要することもあります。
進捗確認は、行政書士経由での問い合わせが最も確実です。直接算出機構に問い合わせることもできますが、代理申請であれば専門家に一任することで、スムーズな対応が可能です。
本社に回るケースの実例
例:頚椎捻挫(むち打ち)でMRI画像が軽微な異常を示していたが、症状が長期化しており、14級9号か否かの判断が難しいケース→本社へ稟議
例:高次脳機能障害でCTや精神科診断書を含む複数資料が必要であったため、より専門的判断のために東京本社へ→高次脳などの11級以上は基本的に本社審査が多い
まとめ
後遺障害認定において「東京本社に稟議に回った」という状況は、難解なケースや高度な判断が必要なケースにおいて通常のプロセスです。不認定が濃厚という意味ではなく、むしろ精査されている証拠とも捉えるべきです。
今後も不安があれば、申請をサポートしている行政書士と連携し、定期的に進捗状況を確認しましょう。焦らず正確な情報を待つことが大切です。