ニュースやSNSで「前科あり」といった言葉を目にすることがありますが、そもそも前科とは何を指すのでしょうか?この記事では、前科の意味、前科がつくケース、逮捕や起訴との違い、そして具体的な例を交えて、法律の観点からわかりやすく説明します。
前科とは何か?法律上の定義
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた記録を意味します。これは、懲役・禁錮・罰金などの「刑」が確定した場合に成立します。つまり、「警察に捕まった」だけでは前科はつきません。
前科は法的には個人の刑事責任が確定したことを示し、裁判所での判決によって正式に記録されます。起訴されても無罪になった場合や、不起訴処分を受けた場合は前科とはなりません。
前科がつく代表的なケース
以下のような行為で有罪判決を受けた場合、前科がつきます。
- 万引き(窃盗罪)
- 無免許運転や飲酒運転(道路交通法違反)
- 傷害や暴行(刑法違反)
- 覚醒剤や大麻の所持(薬物取締法違反)
- 詐欺(刑法違反)
- 痴漢・盗撮(迷惑防止条例違反)
特に罰金以上の刑が科されると、前科がつく対象になります。罰金刑であっても、「有罪判決」には違いないため、これも前科として記録されます。
前科と逮捕・起訴・不起訴の違い
法律の流れとして、前科がつくには以下の段階を経る必要があります。
- 逮捕・送検(警察・検察の判断)
- 起訴(検察が裁判にかけると判断)
- 裁判(裁判官が有罪と判断)
- 刑の確定(罰金・執行猶予付き懲役・実刑など)
逮捕=前科がつくわけではありません。不起訴になった場合は裁判にならず、当然前科もつきません。また、微罪処分や略式命令による罰金刑でも、刑が確定すれば前科となります。
具体的な例:こんなことで前科がつく
例1:コンビニで雑誌を万引きしたケース
初犯でも、防犯カメラや現行犯逮捕により送検され、略式命令で罰金刑となれば前科がつきます。
例2:スマホで盗撮した場合
都道府県の迷惑防止条例に違反し、罰金刑以上の処分を受ければ、有罪判決扱いになり前科となります。
例3:酔った勢いで他人に暴力をふるった
軽微でも暴行罪や傷害罪に問われ、示談が成立しないと起訴・有罪の可能性が高まります。
前歴との違いと記録の保管
前歴とは、逮捕や取調べの記録を指し、有罪にならなくても警察に保存されます。これは警察内部の捜査資料であり、前科とは別物です。
前科は法務省(検察庁)によって管理され、一定期間(刑の終了から5年〜10年など)経過すると、法的な効力は失われる場合もありますが、記録自体は残ります。
まとめ
前科とは、裁判によって有罪判決を受けた結果の記録であり、「逮捕された」だけではつきません。罰金刑以上の有罪が確定した場合に前科がつき、窃盗や暴行、交通違反、薬物などさまざまな犯罪で対象となります。法的な理解を正しく持ち、社会生活への影響を防ぐためにも、知識として押さえておくことが大切です。