交通事故後の示談金額が予想以上に高額で驚く方も少なくありません。特に軽微な事故でも、相手が「むち打ち症」と診断された場合、数十万～百万円近くの支払いが発生することがあります。この記事では、なぜ小さな事故でも高額な示談金になるのか、むち打ち症に関する賠償の仕組みや実例をもとに詳しく解説します。
軽微な事故でも高額になる理由
一見して軽い接触に見える事故でも、人体への影響は想像以上に大きいことがあります。特にむち打ち症はレントゲンなどの画像検査では異常が出にくいため、症状の訴えが重視されやすい傾向にあります。
たとえば時速3km程度の接触事故であっても、頚椎に瞬間的な衝撃が加われば「頚椎捻挫（けいついねんざ）」として医師が診断し、そこから治療費・通院交通費・慰謝料などが加算されるのです。
むち打ち症による慰謝料と計算例
むち打ちの慰謝料は、通院日数や通院期間によって計算されます。一般的には「1日あたり4,300円〜8,900円」程度の慰謝料が支払われることが多く、30日以上通院すればそれだけで20万円以上になることもあります。
さらに通院交通費（電車代やガソリン代など）や診察・リハビリ費用、場合によっては通院のための休業損害なども含まれるため、総額が80万円を超えるケースも十分考えられます。
示談金の内訳に注意しよう
支払われた金額の詳細は、「治療費」「慰謝料」「交通費」「休業損害」などに分けられます。例えば、治療費が40万円、慰謝料が25万円、交通費や雑費が10万円、休業損害が5万円といった構成になることがあります。
示談金は単なる慰謝料の金額だけではなく、実費を含めた複数の要素で構成されていることを理解しておくと納得感が得られやすくなります。
むち打ち症の判断と保険会社の対応
保険会社は医師の診断書に基づき対応するため、たとえ加害者側が「軽い接触だった」と感じていても、医学的に「頚椎捻挫」と診断された以上、賠償義務は発生します。
また、示談額は過去の判例や自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準といった複数の算出基準をもとに算定されるため、被害者の対応姿勢や代理人の有無によっても金額に差が出ます。
過剰請求の可能性は？
加害者側が過剰請求を疑う気持ちも理解できますが、保険会社は相応の審査・交渉を経て支払いを行っています。仮に虚偽申告があった場合も、保険会社側で通院状況や診断書の正当性を確認する体制があります。
一方で、不審点がある場合は「示談の経過報告書」や「保険会社への確認」を行うことも可能です。ただし、通常は被保険者（加害者）に直接詳細な開示が行われないケースもあります。
まとめ｜示談金の仕組みを正しく理解しよう
交通事故後の示談金が思ったよりも高額になる背景には、「むち打ち症」の特性や慰謝料の計算基準、実費補償の積み重ねがあります。事故の規模と賠償金額が一致しないと感じた場合でも、医学的根拠や法的基準に基づいて決定されていることがほとんどです。
納得できない点がある場合は、保険会社の担当者に丁寧に確認してみることをおすすめします。事故後の手続きに対する知識を深めることで、今後の対応にも役立つでしょう。