都市部を中心に、外国人労働者が従事する解体工事や建設現場は増えています。それに伴い、現場でのトラブルにおいて言葉が通じないことで混乱を招くケースも報告されています。本記事では、現場でボヤや火災、騒音などが発生し、作業員が日本語を話さない状況に直面した際に、どこに相談すべきか、どのように行動すればよいのかを整理してお伝えします。
まずは火災や危険がある場合の初動対応
煙や火災を目撃した場合、最優先は119番通報です。言語が通じない作業員がいても、通報者が状況を簡潔に説明すれば、消防が現場対応を行います。消防が到着すれば、専門の対応者が安全確認・消火・関係者への指導までを行います。
万一、外国人作業員が火災対応に不慣れであっても、消防署には外国語対応の資料や通訳支援もあり、安心して任せられます。
警察に通報したが対応が難航した場合
言語が通じない外国人作業員に対し、警察が現場で困惑してしまう例もあります。そういった場合、「通訳を要請してください」と伝えるのが効果的です。
全国の警察には外国語通訳体制が整備されており、英語・中国語・ベトナム語など主要な言語には対応可能です。警察署によっては地域の通訳ボランティアが派遣されることもあります。
労働基準監督署に相談すべきケース
外国人作業員の労働環境や、安全教育が不十分なまま工事に従事していることが疑われる場合、労働基準監督署に通報・相談が可能です。
特に次のような状況があれば、労基署に連絡を入れると良いでしょう。
- 明らかに安全対策がされていない作業(例:ヘルメット未着用)
- 火気や危険物の管理が不適切
- 雇用主が日本語指導・安全指導を行っていない
市区町村の建築指導課への問い合わせ
解体工事には自治体の許可が必要なため、市区町村の建築指導課が監督機関として機能します。「危険な作業が行われている」「周辺住民への配慮がない」といった苦情がある場合は、建築指導課に通報すると現場調査が行われます。
建築指導課では、工事の実施状況が許可内容と適合しているかどうか、安全対策がとられているかを確認できます。
外国人労働者との言語問題をどう解決するか
もし現場と継続的な関わりがある場合(隣接地に住んでいるなど)、地域の国際交流協会や自治体の多文化共生窓口に相談して、通訳者の派遣や言語対応の支援を依頼することも可能です。
また、職場においては「やさしい日本語」での注意喚起文を掲示する、ピクトグラム(絵文字)を使って火気厳禁を示すなど、言葉を越えた意思疎通の工夫も重要です。
まとめ:トラブル発生時に慌てずに対応するために
外国人労働者の増加により、言語の壁がトラブル時の対応を難しくする事例が増えています。火災や危険を感じたらすぐに消防・警察に通報し、状況によっては労基署や自治体にも相談を。
言葉が通じないからと放置するのではなく、関係機関の支援を得て、地域の安全を守る一歩を踏み出しましょう。