自賠責保険の慰謝料計算の仕組みを徹底解説|通院期間と実通院日数の関係とは?

交通事故で怪我をした際、自賠責保険によって慰謝料(入通院慰謝料)が支払われることがあります。この慰謝料の計算方法には特有のルールがあり、「通院期間」と「実通院日数×2」の少ない方で計算されるという原則があります。本記事では、この計算方法の仕組みや注意点、誤解されやすいポイントについて、具体的な事例を交えてわかりやすく解説します。

自賠責保険の慰謝料計算の基本ルール

自賠責保険の入通院慰謝料は、1日あたり4,300円(2023年時点)で計算されます。そして、次の2つのうち少ない方の日数が慰謝料の対象日数となります。

  • 通院期間:治療開始日から治療終了日までの日数
  • 実通院日数×2:実際に病院へ行った日数に2を掛けた数

例えば、通院期間が60日、実際に通院したのが20日だった場合、20日×2=40日となり、少ない方の「40日」が慰謝料計算に使われます。

計算は「全体の期間」単位で行われる

よくある誤解のひとつが「1か月ごとに通院日数と通院期間を比較するのか?」という点ですが、自賠責保険の慰謝料は基本的に通院全体の期間を通じて一括で判断されます。

したがって、4月の通院がなかった場合でも、全体の通院期間が5月〜7月に及んでおり、かつ5月以降にリハビリ等で通っているなら、4月の空白はそのまま含まれた上での「通院期間」としてカウントされます。

途中で通院を休んだ場合の扱い

通院の中断があっても、治療が継続していると認められる場合には通院期間としてカウントされることがあります。ただし、1か月以上の空白があると「治療が一度終了した」とみなされる可能性があるため注意が必要です。

そのため、たとえ毎週通えなかったとしても、医師の指示や診療録上で継続的な治療が確認できれば、トータルの通院期間が評価されることもあります。

計算例:実際のケースで見る慰謝料の算出方法

例1:4月15日~6月14日まで通院(61日間)、通院実日数が21日

→ 実通院日数×2=42日、通院期間=61日 → 少ない方の「42日」が対象 → 42日×4,300円=180,600円

例2:5月1日~5月31日、10日通院

→ 実通院日数×2=20日、通院期間=31日 → 少ない方の「20日」が対象 → 86,000円

被害者請求の場合の注意点

自賠責保険は加害者側の保険会社が手続きを行うことが多いですが、自分で請求する「被害者請求」も可能です。その場合、通院日数や領収書・診断書を正確に揃える必要があります。

慰謝料の算定に不安がある場合や、請求金額に納得がいかない場合は、交通事故に詳しい弁護士や行政書士に相談するのもひとつの方法です。

まとめ:慰謝料の計算は全体の流れで判断される

自賠責保険の慰謝料は「通院期間」か「実通院日数×2」のどちらか少ない方をもとに算出され、原則として1か月ごとの区切りではなく通院全体で判断されます。

途中に通院していない月があっても、治療が継続しているとみなされれば通院期間としてカウントされることもあります。迷った場合は、専門家や保険会社に相談することで、より正確な判断が得られるでしょう。

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