Googleマップの口コミは、店舗やサービスに対する正直な感想を共有できる便利な機能です。しかし、内容によっては、店舗側から「弁護士に相談する」「名誉毀損で訴える」などと強い対応を示されるケースもあります。この記事では、悪意がなかった口コミが法的トラブルに発展しそうなときの考え方や対応方法を解説します。
まず前提として知っておきたい名誉毀損の基準
名誉毀損とは、他人の社会的評価を低下させる事実を不特定多数に伝えることで成立する可能性がある犯罪および民事不法行為です。刑法230条によれば、「公共の利害に関する事項」であり、「公益を図る目的」であれば違法性が阻却されることもあります。
つまり、口コミで事実を述べていたとしても、その表現が過度で社会的評価を不当に下げたと見なされれば、違法となる余地があります。一方で、個人の体験に基づく適切な表現であれば、名誉毀損は成立しにくいとされています。
口コミで「訴える」と言われる典型的なケース
実際にトラブルになりやすい例として、以下のような記載があります。
- 「〇〇というスタッフが最悪」「詐欺のような対応」など、特定人物への誹謗中傷
- 「保健所に通報しました」「違法営業だと思います」など、事実確認のない断定的表現
- サービスとは無関係な私的中傷やプライバシー侵害的な投稿
このような表現は、投稿者に悪意がなかった場合でも、店側にとっては営業妨害と受け取られ、法的手段を検討される可能性があります。
法的に争われた場合のリスクと実例
過去には、Google口コミをめぐって実際に訴訟に発展した事例も存在します。たとえば、「接客が酷く、無資格で営業している」と書き込んだユーザーが、名誉毀損や業務妨害で訴えられ、損害賠償を命じられたケースもあります。
ただし、口コミによって真実の事実を述べており、内容が公共の利益に資すると裁判所が認めた場合には、名誉毀損は成立しない（違法性が阻却される）こともあります。つまり、事実性・公益性・目的の妥当性が重要な評価基準です。
不安な場合に取るべき対応
まずは感情的にならず、以下の対応を検討してください。
- 口コミの内容を読み直し、「事実かどうか」「表現が過激でないか」冷静に見直す
- 必要に応じて口コミを編集・削除する：削除することで問題が解消する場合もあります。
- 相手が本当に弁護士を介入させた場合は、内容証明郵便などの通知が来る：この場合は弁護士に相談しましょう。
Googleの口コミ機能には、投稿者情報の開示請求を行える制度があり、相手が開示請求を進めてくる可能性もあります。その場合でも、法的対応はすぐに発生するとは限らず、裁判所が慎重に判断します。
弁護士に相談すべきタイミング
もし相手から法的措置に踏み切る姿勢が見えた場合（内容証明や法的通知が届いた場合など）は、すぐに弁護士へ相談するのが安全です。法的な主張の妥当性、対応方針、必要な証拠整理などについてアドバイスを受けることができます。
特に、相手が営業妨害や損害賠償請求に踏み切った場合、自力での対応は困難になりやすく、初期対応のミスがのちに不利になることもあります。
まとめ｜不用意な口コミは慎重に、トラブル時は冷静な対処を
Googleの口コミは便利な反面、内容次第では名誉毀損や営業妨害などの法的リスクを伴う場合があります。悪意がなかった場合でも、表現の仕方によっては相手を傷つけたり、問題化することがあります。
「訴える」と言われたら焦らず、内容の見直しや削除、弁護士相談を検討しましょう。投稿者としての責任を理解しつつ、適切な範囲で正当な評価を行う姿勢が大切です。