近年、パトカーと一般車両との接触事故の映像がYouTubeなどに多数投稿されるようになり、警察官の運転ミスや過失についての関心が高まっています。特に、物損事故において警察官にどのような責任が問われるのか、処分の対象になるのか気になる方も多いのではないでしょうか。今回はその点を詳しく解説していきます。
物損事故と人身事故の法的な違い
まず、物損事故とは、事故によって人がけがをせず、物（車両や施設等）のみが損害を受けたケースを指します。これに対し、人身事故は負傷者が出た場合で、より重い扱いになります。
物損事故であっても、過失の度合いや発生状況によって、加害者の責任は当然問われます。パトカーであってもこの原則は変わらず、警察官も交通法規に従う義務があります。
パトカーの事故はなぜ注目されるのか？
パトカーは公務で走行していることが多く、一般車よりも高い運転技術や注意義務が求められるため、事故が発生すると社会的に注目されやすくなります。また、警察という公的機関の信頼性にも関わるため、対応も慎重になります。
特に緊急走行でない場合、パトカーは通常の一般車と同じく交通法規を守る必要があり、違反した場合はそれ相応の責任が生じます。
警察官に課される懲戒処分の実態
警察官が公務中に物損事故を起こした場合、事故の重大性や過失の程度により、懲戒処分の対象になることがあります。処分の種類には以下のようなものがあります。
- 戒告：最も軽い処分で、注意・警告の意味合い
- 減給：給与の一部を一定期間減らす
- 停職：一定期間、職務に就かせない
- 免職：職を辞させる最も重い処分
物損事故であっても、明らかな過失や複数回の事故を起こしている場合は、減給や停職といった処分が科される可能性があります。
実際の事例から見る処分の傾向
たとえば、2022年に報道されたある県警のケースでは、交差点で信号無視して車両と接触した警察官に対して「戒告処分」が下されました。この事例では人身事故ではなかったものの、過失が明らかだったため処分がなされたとされます。
一方で、明らかな悪質性や規則違反がなければ、口頭注意や所属内の指導で済むケースもあります。
物損事故後の対応も重要
事故後の対応が誠実であるかどうかも、処分内容に影響します。たとえば、事故報告を怠った、被害者対応を軽視したといった場合は、処分が重くなる傾向があります。
一方で、速やかな報告と丁寧な対応が評価され、処分が軽減されることもあります。
まとめ：パトカー事故でも責任は免れない
パトカーであっても、一般車と同じく交通法規に従う必要があります。事故を起こせば過失の度合いに応じた懲戒処分の可能性があり、物損事故であっても処分が科されることがあります。警察官という立場ゆえに、一般のドライバー以上に注意義務が問われる場面であると言えるでしょう。