交通事故による被害で長期間通院が必要になると、補償額の上限や保険の切り替えに不安を感じる方も多いでしょう。特に、もらい事故の場合は自賠責保険が先行して使われますが、120万円を超えるとどうなるのか、補償が打ち切られるのか、など複雑な仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
自賠責保険の補償内容と限度額の基本
自賠責保険(強制保険)は、交通事故の被害者に最低限の補償を提供する制度です。通院や治療費、休業損害、慰謝料などを含めて総額120万円までが限度となっています。
たとえば、通院1日につき慰謝料として4,300円、休業損害(主婦も含む)も1日につき6,100円(2024年現在の相場)で計算されるため、週2〜3回通院を10ヶ月続けると、交通費や薬代も含めて限度額に達するケースは珍しくありません。
120万円を超えると補償はどうなるのか?
自賠責保険の120万円の上限を超えると、残りの治療費や慰謝料などは加害者側の任意保険から補償される仕組みです。よって、自賠責の上限に達してもすぐに治療が打ち切られるわけではありません。
加害者が任意保険に加入していれば、その保険会社が引き続き対応します。保険会社によっては治療継続に対して慎重な姿勢を取る場合もありますが、医師の診断や通院記録があれば、引き続き補償される可能性は高いです。
治療継続のためにすべきこと
長期間の通院を続けるには、以下の点に注意しましょう。
- 医師の診断書の取得:通院が必要な理由と治療の継続が妥当である旨を医師に明記してもらう。
- 治療経過の記録:通院日数、治療内容、痛みの症状などを記録しておく。
- 保険会社への連絡:現在の通院状況や医師の意見を伝え、任意保険への切り替えを確認する。
これらを怠ると、任意保険会社が「症状固定」(これ以上治療しても改善しない状態)と判断し、治療費の打ち切りを判断することもあります。
主婦手当(休業損害)はどうなるのか?
専業主婦やパート主婦も、休業損害の対象になります。自賠責では1日6,100円(2024年相場)で計算され、週2回通院を10ヶ月続けた場合、おおよそ40〜50万円程度の支給になる計算です。
この金額は自賠責の120万円限度額に含まれますが、それを超えた場合も任意保険があれば支給の可能性はあります。証明書類(通院記録や診断書)をきちんと保管しておきましょう。
手続きは必要? 何をすればいい?
自賠責の限度額を超えるタイミングで、保険会社から「任意保険での対応に切り替える」と連絡があるのが通常です。もし連絡がない場合、自分から保険会社に状況を伝えましょう。
重要なのは「加害者が任意保険に加入しているかどうか」です。未加入の場合、自賠責を超えた分は被害者が立替えることになるため、弁護士などに相談することをおすすめします。
まとめ
交通事故の被害で長期間通院を続けた場合、自賠責保険の120万円を超えると、加害者の任意保険からの補償に切り替わるのが一般的です。治療を続けるためには、医師の診断書や通院記録を整え、保険会社との連携を怠らないことが大切です。手続きが不明な場合は、交通事故に強い弁護士に早めに相談することで、泣き寝入りを防げます。