車の運転中に他人の所有物に接触してしまった場合、相手が「警察を呼ばなくていい」と言ったとしても、後からトラブルになることがあります。今回は、他人の家の壁などに擦ってしまったときの正しい対応について、実例を交えて解説します。
物損事故とは?報告の義務について
自動車で他人の物(家の壁・フェンス・電柱など)を破損した場合は「物損事故」となり、法律上は警察への報告義務があります。道路交通法第72条に基づき、事故を起こした者は必ず警察に報告しなければなりません。
たとえ相手方が「大丈夫」と言っても、後に保険対応でトラブルになるリスクがあります。報告を怠ると、保険会社が事故証明を発行できず、保険金が下りない可能性もあるため注意が必要です。
警察を呼ばなかった場合に起こり得るトラブル
最も多いのが、口約束で修理費用を支払うとしたものの、後から「壁の修理に◯十万円かかった」と高額請求されるトラブルです。また、警察を通していないため事故証明がなく、後から話が食い違った際に証拠が残っていません。
実際の例では、「当初は5万円程度と聞いていたのに、最終的に30万円を請求された」というケースもあります。このようなトラブルを防ぐためにも、必ず警察に連絡を入れて記録を残すことが重要です。
保険会社への報告も忘れずに
物損事故でも、自動車保険(対物賠償保険)を使って修理費用をカバーできることがあります。警察への届け出を行った後は、速やかにご自身の保険会社へも連絡を入れましょう。
保険を使うかどうかは、後で検討しても構いませんが、報告自体はしておくのが鉄則です。未報告の場合、万が一揉めた時に補償の対象外となるリスクがあります。
現場での対応のポイント
- まずは車を安全な場所に停める
- 接触した相手の方に丁寧に謝罪
- 損傷状況の写真を撮影しておく
- 必ず警察へ連絡する(物損事故であっても)
- 相手の名前・連絡先を控えておく
特に「その場で話し合って済ませよう」と言われた場合でも、警察への届け出は必要だと丁寧に説明すると、トラブル回避につながります。
警察が来るのをためらってしまったら?
もし既にその場を離れてしまっていても、事故を起こしたことを認識していれば、後からでも警察に連絡しましょう。遅れてでも自己申告すれば、悪質な「当て逃げ」とは見なされず、誠実な対応と評価されます。
特に自転車や歩行者を巻き込んだ場合は、より慎重な対応が求められます。目に見えない損傷や後から痛みが出るケースもあるためです。
まとめ
車で壁などに接触した際は、相手が「警察を呼ばなくてよい」と言っても、法的には事故報告の義務があります。後のトラブルを防ぐためにも、必ず警察と保険会社に連絡しましょう。誠実に対応し、正しい手順を踏むことで、信頼関係も維持でき、万が一の時も安心です。