信号機のない横断歩道を渡ろうとした際に、車が止まらず危険な思いをした経験のある方は少なくないかもしれません。歩行者の安全は法律で守られているにもかかわらず、現実にはそれが軽視されることもあります。本記事では、こうした状況下で事故が起きた場合における法律上の責任や慰謝料の支払いについて、わかりやすく解説します。
信号機のない横断歩道での交通ルールとは
道路交通法第38条により、車両は信号機のない横断歩道に人がいれば必ず一時停止しなければならないとされています。違反すれば違反点数2点、反則金9,000円(普通車の場合)などの処分を受けます。
たとえば、歩行者が明らかに横断しようとしている場合、それに気づきながら車が止まらなかったなら、ドライバーには重大な過失が認められる可能性が高くなります。
万が一事故に遭った場合の責任の所在
歩行者が横断歩道を渡っている最中に車に轢かれた場合、基本的に車側に大きな責任が課せられます。特に歩行者が横断歩道上にいたのであれば、車側の過失割合は非常に高くなるのが一般的です。
実際の交通事故の裁判例では、歩行者が横断歩道上にいた場合、車側の過失割合が90%以上とされるケースも多く見られます。
慰謝料はどれくらいもらえるのか?
事故により怪我を負った場合、加害者側(車の運転者)は被害者に対して治療費・休業損害・慰謝料などを支払う義務があります。
たとえば、軽傷で入通院が数週間程度の場合、慰謝料は10〜30万円程度になることがあります。重傷で後遺障害が残るような場合は、慰謝料だけで数百万円以上に上ることもあります。
しかし、「わざと事故を狙う」は重大なリスク
仮に「慰謝料目的で意図的に事故に遭う」という行動を取った場合、それは故意の交通事故詐欺と見なされ、逆に刑事罰の対象になります。監視カメラやドライブレコーダーの映像から行動が不自然であると判断されれば、慰謝料どころか刑事告訴の可能性もあります。
実際に、故意に車にぶつかろうとした人物が詐欺罪で逮捕される事例もあり、極めてリスクの高い行為です。
交通事故の被害者になったときの対処法
もし本当に事故に遭った場合には、以下のような対応が重要です。
- 警察へ通報(人身事故として届け出)
- 加害者の情報(氏名、連絡先、保険会社など)を確認
- 病院で診断書を取得
- 弁護士や交通事故専門の相談機関に連絡
特に保険会社との交渉は専門知識が必要になる場合が多いため、法律の専門家の助言を受けるのが望ましいです。
まとめ:命と安全が最優先、事故に便乗するのはNG
信号のない横断歩道では車側に大きな責任がありますが、わざと事故を狙って慰謝料を得ようとする行為は絶対に避けるべきです。何より命と健康が第一であり、そのためには法律を正しく理解し、万一事故に遭った際には適切に対応することが重要です。
「危ないな」と思ったときには歩行を止めて安全確認をし、万が一のときは必ず記録と証拠を残しておくようにしましょう。