交通事故で歩行者や自転車利用者が車に轢かれてしまい重傷を負った場合、加害者やその保険会社から損害賠償を受けることができます。しかし「いくらもらえるのか」はケガの程度や後遺障害の有無、逸失利益の額などさまざまな要因により大きく変動します。本記事では、重傷事故における賠償金の構成や具体例をわかりやすく解説します。
重傷事故で請求できる損害賠償の内訳
交通事故の被害者が請求できる損害賠償は主に以下の3つに分けられます。
- 積極損害(治療費・入院費・通院交通費など)
- 消極損害(休業損害・逸失利益)
- 慰謝料(精神的苦痛に対する補償)
これに加えて後遺障害が残る場合は、「後遺障害慰謝料」と「後遺障害による逸失利益」が加算されます。
後遺障害の等級と賠償額の違い
事故によって後遺症が残った場合、その等級(1級~14級)によって補償額が大きく変わります。たとえば、下記のような目安があります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 | 逸失利益(概算) |
---|---|---|
1級 | 1,600万円 | 数千万円~1億円超 |
7級 | 1,000万円 | 約2,000万円~4,000万円 |
14級 | 110万円 | 数十万円~100万円程度 |
なお、この表は一例であり、被害者の年齢・職業・収入などにより金額は変動します。
慰謝料と逸失利益の算定方法
慰謝料は主に以下のように分類されます。
- 入通院慰謝料:入院・通院日数に応じて定額
- 後遺障害慰謝料:後遺症の等級に応じた定額
また、逸失利益とは、後遺症や死亡によって将来的に得られるはずだった収入を失ったことによる損害で、収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数(年数分)で算出されます。
実例:自転車と車の事故で左足に障害が残ったケース
20代男性が自転車で走行中に車に轢かれ、左足を複雑骨折。治療後も運動制限が残り、10級の後遺障害が認定されました。会社員で年収約400万円。
この場合の賠償総額の目安は以下のとおりです。
- 治療費・入院費:約200万円
- 休業損害:約150万円
- 後遺障害慰謝料:約550万円
- 逸失利益:約2,000万円
- 合計:約2,900万円
被害者に過失がある場合は、過失割合に応じて減額されることがあります。
損害賠償請求に強い弁護士の活用を
保険会社の提示する賠償金額は、裁判基準(弁護士基準)よりも低くなる傾向があります。そのため、弁護士に相談することで賠償額を大幅に増やせる可能性があります。
たとえば、後遺障害14級で保険会社提示が80万円だったケースで、弁護士が介入して240万円に増額された事例もあります。
まとめ
交通事故による重傷の場合、損害賠償額は数百万円から数千万円と大きな額になる可能性があります。後遺障害等級や逸失利益、慰謝料の計算など専門知識が必要となるため、弁護士や交通事故専門の相談窓口の活用が非常に重要です。示談前に一度、法律の専門家に相談することをおすすめします。