結婚を考えているカップルの中には、相手と同じ苗字であることを理由に周囲の反対に悩むケースもあります。とくに地方では、古くからの慣習や親戚の目を気にして踏み切れない人も少なくありません。しかし、法的にはどうなのか?また、こうした文化的な反発にどう対応すれば良いのかを考えてみましょう。
同姓同士の結婚は法的に可能
まず前提として、結婚相手と同じ姓であっても、法的には一切問題ありません。日本の民法では、親族関係や戸籍上の血縁が一定程度近くなければ結婚は可能であり、「苗字が同じ」というだけで制限されることはありません。
たとえば、「山田さん」と「山田さん」が婚姻届を提出しても、血縁に問題がなければそのまま受理されます。婚姻に際して、どちらの姓を名乗るか(夫姓・妻姓)を選ぶことは必要ですが、これは姓の一致・不一致とは関係ありません。
苗字が同じことで反対される地域慣習の実例
特に地方、たとえば愛知県の一部地域などでは、親戚関係が濃く、同姓同士の結婚に対して根拠のない違和感や「家柄が近すぎるのでは」といった偏見が残っていることもあります。
実際には無関係であっても、「同じ苗字だから親戚筋かも」「村八分にされるかも」という意識がある家庭や地域も存在します。これは法制度ではなく、いわば「地域社会の空気」に過ぎません。
反対を受けた際の向き合い方
このような状況においては、感情論ではなく冷静に「法的には問題がない」ことを説明し、必要に応じて戸籍謄本などで血縁がないことを明らかにするのが効果的です。
また、本人同士とその親が賛成しているのであれば、最も大切なのは「ふたりが将来をどう築くか」という視点です。親戚への理解を得る努力をしつつも、反対意見にすべて従う必要はないという自信を持つことも必要です。
苗字が同じことの社会的影響
たとえば職場や学校などで「夫婦なのに旧姓と同じ」ということで珍しがられることはありますが、現代では「偶然同じ苗字の人」はそれほど珍しくありません。とくに「佐藤」や「鈴木」などのよくある姓であれば、気にする人はほとんどいないでしょう。
また、婚姻後にダブル山田さん(山田太郎さんと山田花子さん)になったとしても、事務手続き上のトラブルなどは通常起こりません。郵便物や保険証で姓が同じだからといって混乱することはほとんどなく、心配する必要はありません。
実際にあった事例と解決のヒント
ある岐阜県在住のカップルは、苗字が同じことで祖父母から強い反対を受けたものの、親が丁寧に説明を重ね、最終的には親戚も理解してくれたという例があります。「苗字ではなく、ふたりの思いを尊重してほしい」というメッセージが心に響いたようです。
一方で、説得が難しい場合には「事実婚」を選ぶカップルもいます。法律上の婚姻とは別に、生活のパートナーとして世帯を形成するという選択肢も、現代では市民権を得つつあります。
まとめ
結婚相手と同じ苗字であることに法的な問題はなく、反対される理由はあくまで慣習や感情的な部分に過ぎません。大切なのはふたりが納得していること、そして必要に応じて冷静に説明を行い、理解を得る努力をすることです。社会の多様性が広がる今、自分たちの価値観に基づいて人生を選択する勇気もまた、尊重されるべきものです。