自転車による「ながらスマホ」が原因で自動車と接触する事故が増えています。歩道でも車道でもそのリスクは高く、動画サイトなどでも多数の映像が共有されており、今回話題になった動画もその一例です。では、自動車側はこのような事故で損害賠償を請求できるのでしょうか?この記事では、その法的な側面と現実的な対処法を解説します。
ながらスマホは道路交通法違反
自転車でも運転中にスマホを使用する行為は、道路交通法第70条の安全運転義務違反に該当します。視線を外していたり、反応が遅れたりすることにより、事故の危険性は著しく高まります。
各自治体では条例でさらに厳しく規制している場合もあり、違反者には罰金や講習を科す例もあります。つまり、ながらスマホで事故を起こした場合、法的に加害者とされる可能性が十分にあるのです。
損害賠償請求は自転車でも可能
自転車が加害者となる事故であっても、民事上の損害賠償請求は可能です。被害者である運転手が、修理費や精神的苦痛の補償を求めることができます。
特に「ながらスマホ」による過失が明確な場合、修理費用全額または一部について請求が認められる可能性が高いです。過去には数百万単位の賠償が命じられた自転車事故も存在します(例:2013年神戸地裁判決)。
加害者が未成年だった場合は?
加害者が未成年者であっても、その監督責任を負う保護者に対して損害賠償請求を行うことができます。民法第714条によれば、監督義務者がその義務を怠ったと判断されれば責任を負うことになります。
中高生による事故も多く、その場合は家庭の火災保険などに付帯している「個人賠償責任保険」が使える場合があります。加害者がこの保険に加入していれば、被害者への補償もスムーズに進みます。
修理費を請求するための証拠と手続き
まず必要なのは事故の記録と証拠です。今回のように映像が残っている場合は非常に有利です。次のステップとしては。
- 加害者の氏名・連絡先の特定
- 事故発生の証拠(映像・写真・目撃者など)
- 修理費用の見積書または請求書
- 損害賠償請求書の送付
これらをもとに話し合いで解決できなければ、民事調停や少額訴訟を検討することも可能です。
弁護士への相談や保険の活用
被害金額が大きい場合や相手側が交渉に応じない場合は、弁護士への相談が有効です。自動車保険に「弁護士費用特約」が付いている場合は費用を保険会社が負担してくれるケースもあります。
また、ドライブレコーダーの映像も証拠として非常に有効です。ながらスマホの瞬間が明確に映っていれば、加害者の過失はさらに明らかになります。
まとめ:泣き寝入りせず、正当な権利を行使しよう
自転車による事故であっても、過失が明確であれば修理費の請求は可能です。特に「ながらスマホ」という重大な過失がある場合は、損害賠償が認められる可能性が高くなります。
事故後の証拠保存と冷静な対応がカギ。まずは保険や映像などの記録を確認し、必要に応じて専門家への相談も検討しましょう。