自己破産をすると持ち家を失う可能性がありますが、その後の住まいの確保について不安を抱える人は少なくありません。実際には多くの人が賃貸住宅へ移るケースが多いですが、「そもそも入居費用をどうやって捻出するのか?」という疑問は極めて現実的です。本記事では、自己破産後の住まいの選択肢や、入居資金の調達方法について詳しく解説します。
自己破産で家を失う仕組み
自己破産により、原則としてローン付きの持ち家は破産財団に組み入れられ、裁判所が選任した破産管財人により売却されます。その売却益は債権者に分配されるため、住宅は手元に残らないケースがほとんどです。
競売・任意売却のタイミングによっては、退去までに数カ月の猶予があることもあります。この猶予期間を使って、次の住まいの確保準備を進めることが重要です。
賃貸契約に必要な初期費用とは?
賃貸物件に入居する際には、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などの初期費用が必要です。家賃6万円の物件でも、入居時には20万円前後の費用が発生することが一般的です。
また、審査においても自己破産歴が不利に働く可能性があるため、保証会社の利用や連帯保証人の用意が求められる場合があります。
入居費用をどう工面する?
多くの破産者が活用しているのが、生活福祉資金貸付制度や各自治体が実施する「住宅確保給付金」などの公的支援です。これらは一定の要件を満たすことで、敷金礼金や当面の家賃を補助してくれる制度です。
また、破産手続き中であっても収入がある場合は、分割払いやゼロゼロ物件(敷金・礼金不要物件)を利用するなどの工夫も可能です。家賃補助付きの就労支援付き住宅なども選択肢の一つです。
住宅支援が受けられる公的制度の例
- 生活保護制度:収入や資産が一定以下であれば家賃補助を受けられる
- 住宅確保給付金:求職中や就労中でも条件を満たせば3〜9ヶ月間家賃が支給される
- 社会福祉協議会の貸付制度:敷金・礼金等を一時的に貸し付けてくれる
これらの制度は、住民票のある自治体での相談が基本です。地域によって支援の手厚さや申請方法に違いがあるため、事前確認が重要です。
実際の体験談に学ぶ
「自己破産後、実家には戻れず途方に暮れていたが、区の福祉課で相談したところ住宅確保給付金の制度を教えてもらい、無事に安価な賃貸に引っ越すことができた」(40代・男性)
「敷金・礼金が不要なアパートに決め、必要な家具類はリサイクルショップで調達。生活再建に向けて前向きに動けた」(30代・女性)
まとめ:事前準備と情報収集がカギ
自己破産後の住居問題は非常に切実な課題ですが、各種支援制度を活用することで新たなスタートを切ることは可能です。重要なのは早めの行動と正確な情報収集。役所や弁護士、司法書士、社会福祉協議会などの支援機関を頼ることが、生活再建の第一歩となります。