公共の場などで盗撮の疑いがある人物を見かけた際、「証拠として撮影してもいいのだろうか?」と悩む方も少なくありません。この記事では、盗撮をしている可能性がある人物を撮影することが法律上どのように扱われるのか、またその際に注意すべきポイントについて解説します。
盗撮の疑いがある相手を撮影することは違法なのか?
基本的に、公共の場で人物を撮影する行為には肖像権の侵害が絡んでくる場合があります。たとえ相手が盗撮しているように見えても、証拠保全という目的で撮影したとしても、その写真や動画の使用方法によっては違法と判断される可能性もあります。
例えば、その写真をSNSなどで公開した場合には名誉毀損やプライバシー侵害に発展する恐れがあります。一方で、警察への通報と共に証拠として提供する場合には「正当な目的」とみなされ、違法性が問われにくいとされます。
正当な証拠保全とは何か?
刑法上、「正当な理由がある行為」には違法性が認められにくくなります。盗撮のような明らかに違法行為を防ぐ、または通報する目的での撮影は、その状況次第で「正当防衛的行為」「緊急避難」に該当する可能性があります。
重要なのは、撮影が行き過ぎたものでないこと、撮影した写真や映像が本人確認や警察提出など正当な使い方をされていることです。盗撮者と疑われる人物を尾行したり、長時間録画する行為などは、逆にあなたの行動が問題視されるリスクもあるので注意が必要です。
撮影の際に気をつけたい法的ポイント
- 公共性の高い場所での短時間・限定的な撮影であること
- 警察提出などの目的が明確であること
- 写真や動画を第三者に公開・共有しないこと(特にSNS投稿は厳禁)
- 撮影が相手の名誉や社会的地位を不当に傷つける目的ではないこと
これらを守っていれば、撮影そのものが違法と判断される可能性は低くなりますが、あくまでケースバイケースであり、疑われた人物から訴えられる可能性がゼロではありません。
通報と証拠提出のすすめ
盗撮行為を見かけた場合、もっとも適切な行動は警察や鉄道係員などに速やかに通報することです。その際に、証拠として写真を提示することで、盗撮行為の立証がしやすくなります。
たとえば、駅構内でスマートフォンをスカートの下に向けていた人物を見かけた場合、その状況をすぐ駅員に伝え、自身で撮影した証拠を提出することで、迅速な対応が可能になります。
トラブルに巻き込まれないために
「正しいことをしたはずなのに、自分が訴えられた」——こうしたトラブルを避けるためにも、盗撮疑惑のある相手を撮影する際には、あくまでも冷静に、必要最小限の行動を心がけることが大切です。
また、可能であればその場にいる第三者(駅員・警備員)などに協力を仰ぎ、あなたが単独で行動するリスクを避けることも有効です。
まとめ
盗撮の疑いがある人物を撮影する行為は、状況や目的によっては違法と判断されないこともありますが、その判断は非常にデリケートです。もっとも安全で効果的なのは、状況を速やかに通報し、撮影は必要最小限にとどめ、個人の名誉を守る形で証拠を扱うことです。自分自身が法的トラブルに巻き込まれないためにも、正しい知識と慎重な対応を心がけましょう。