日常生活で頻繁に見かける「歩道を塞ぐように停車した車」。このような状況下で自転車が接触事故を起こした場合、どちらにどの程度の過失があるのか、非常に気になるところです。本記事では、歩道上での車と自転車の事故における過失割合や責任の分担について、法律や判例をもとにわかりやすく解説します。
基本的な交通ルールと歩道の優先権
まず大前提として、歩道は歩行者と一部の条件下での自転車の通行を優先する空間です。車両は基本的に進入が禁止されており、出入口などで歩道を横断する際は、歩行者や自転車の通行を妨げないよう一時停止が義務付けられています（道路交通法第17条第1項、第38条）。
したがって、車が車道に出ようとして歩道を完全に塞いで停止していた場合、それ自体が交通違反に該当する可能性があるほか、自転車や歩行者の通行を著しく妨げる危険な行為と評価されます。
事故時の過失割合の基本的な考え方
自転車と自動車の事故では、原則として車側に大きな注意義務が課されるため、自動車の過失割合が高くなる傾向があります。
たとえば、以下のような判例や損保会社の事故類型表では、歩道上で一時停止せず、歩行者・自転車の通行を妨害して事故が起きた場合、自動車の過失が90％以上とされることもあります。
ただし、自転車側にも注意義務があるため、状況によっては一部の過失（10〜30％程度）が認定される場合もあります。特に、以下のような点が過失割合に影響します。
- 自転車の速度が速すぎた
- 注意を怠って突っ込んだ
- 夜間でライトがついていなかった
過失割合の一例：自転車が歩道上の車に衝突したケース
具体的な事例として、以下のような事故が想定されます。
| 状況 | 想定過失割合（自動車：自転車） |
|---|---|
| 車が歩道を完全に塞いで停止、自転車が直進で接触 | 90：10 |
| 車が徐行中に歩道へ進入し、接触した | 80：20 |
| 自転車がスマホ操作中で注意不足 | 70：30 |
自転車側に著しい過失（たとえば信号無視や極端な不注意など）がない限り、自動車側の責任が大きいとされます。
事故後にとるべき対応と保険の活用
事故に遭った場合は、まず以下の行動をとることが重要です。
- 警察に通報し、事故証明を取得する
- 現場写真・車両の位置関係をスマホで記録
- ドライブレコーダーや周囲の監視カメラがあるか確認
- 目撃者がいれば連絡先を聞く
また、自転車も保険（個人賠償責任保険や自転車保険）に加入していれば、損害補償や交渉の負担を軽減できます。自動車側は任意保険の対物・対人賠償を通じて解決が図られることが一般的です。
過失割合に納得がいかない場合の対応
過失割合について争いがある場合は、示談交渉中に弁護士への相談を検討するのが得策です。自転車事故でも、法テラスなどを活用すれば初回相談無料のケースもあります。
また、事故の内容や車の停車状態によっては、民事上の責任にとどまらず、道路交通法違反として行政処分の対象になる可能性もあるため、慎重に対応しましょう。
まとめ：歩道を塞ぐ車との事故は原則車側の責任が重い
歩道上で停止していた車と自転車の接触事故では、歩行者空間を妨害した車の側に高い過失責任が課されるのが一般的です。ただし、自転車にも一定の注意義務があるため、事故状況に応じて過失割合が調整されることもあります。
重要なのは、事故の記録と証拠保全をしっかり行い、保険会社や専門家と連携しながら冷静に対応することです。トラブルを回避するためにも、歩道や車道の正しいルールを理解し、安全運転を心がけましょう。