ネット上での投稿や誹謗中傷などを原因に、開示請求の結果として損害賠償請求を受けるケースが増加しています。弁護士から「相当額の損害賠償請求を検討している」と通告された場合、その金額がいくらになるのか、支払い方法はどうなるのか、不安に思う方も多いでしょう。この記事では、損害賠償請求における金額の相場や支払いの実務、支払えないときの対処方法まで解説します。
損害賠償請求の金額はケースバイケース
損害賠償の金額は、名誉毀損、プライバシー侵害、著作権侵害、業務妨害などの法的性質や、被害の規模や影響、加害者の悪意の有無によって大きく異なります。
たとえば、SNS上での中傷投稿が原因で企業や個人が損害を受けた場合、数万円から数十万円程度が相場とされることが多いですが、芸能人や法人に対する悪質な書き込みでは100万円〜300万円の請求がされることもあります。
過去の裁判例では、一般人による書き込みに対し、名誉毀損で20万円〜50万円程度、業務妨害で100万円以上の請求が認められた事例もあります。
損害賠償の支払いはいつまでに?
請求を受けた際は、まず示談交渉の機会が設けられることが多いです。その際、支払い期限は「通知から2週間〜1ヶ月以内」が一般的です。
ただし、交渉の中で双方が合意すれば、分割払いなど柔軟な支払い方法が認められる場合もあります。交渉の余地があるうちに弁護士に相談することが、解決への近道となります。
一括で払えないときの対応
高額な損害賠償を一括で支払えない場合、以下のような方法があります。
- 分割払いでの和解を提案する:相手方が了承すれば、月々の分割払いで和解が成立することも多いです。
- 自己破産を検討する:一部の損害賠償は破産手続で免責されることがあります。ただし、悪質な名誉毀損や故意・重過失による不法行為は免責されない可能性もあります。
- 弁護士を通じて交渉する:相手方に誠意を見せることが和解への第一歩です。
例として、請求額が50万円だった場合に「初回10万円+月2万円の20回払い」で示談が成立した例もあります。
放置した場合のリスク
損害賠償請求を無視・放置すると、相手方が民事訴訟を提起する可能性があります。訴訟で敗訴し、支払命令が確定すると、給与や預金口座の差し押さえなど強制執行を受けるリスクもあります。
また、判決が確定すると、信用情報や官報に記録が残る可能性もあり、就職やローン審査などに悪影響を及ぼすこともあるため、早めの対応が重要です。
示談交渉のポイント
損害賠償請求を受けた際に示談で済ませたい場合、以下の点を押さえておくと良いでしょう。
- 弁護士を通して交渉し、感情的な衝突を避ける
- 相手方に対する謝罪の意思を明確に示す
- 誠意ある支払い方法を提示する(分割可)
- 和解条項に「今後の請求放棄」を明記してもらう
示談書を交わすことで、将来的な再請求のリスクを減らせます。
まとめ
損害賠償請求の金額はケースにより異なりますが、数万円〜数百万円に及ぶこともあり、支払いは請求後2週間〜1ヶ月以内が一般的です。支払えない場合でも、分割払いの提案や弁護士による交渉により、現実的な解決が可能です。対応を放置すると訴訟・強制執行のリスクが高まるため、早期に専門家へ相談し、適切な対応をとることが大切です。