交通事故に遭った際、治療費や慰謝料の支給については複数の制度や保険が関係してきます。特に、自賠責保険からの通院慰謝料と、府民共済などの共済保険の通院保障は「同時に受け取れるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、自賠責保険と共済金、任意保険との関係を整理し、安心して申請できるようわかりやすく解説します。
自賠責保険とは?通院慰謝料の基本を理解しよう
自賠責保険は、すべての車両に加入が義務付けられている強制保険で、主に被害者救済を目的とした制度です。通院慰謝料は「1日あたり4,300円(2024年時点)」を基準に、治療期間と実通院日数に応じて支給されます。
たとえば、30日通院した場合、慰謝料は概算で4,300円×30日=129,000円となります。これは被害者本人に直接支払われるものです。
府民共済の通院保障とは?
府民共済は都道府県単位で運営される共済制度で、交通事故やケガによる通院にも保障が設定されています。多くの場合、1日2,000円〜4,000円程度の共済金が、通院日数に応じて支払われる仕組みです。
共済金は加入者本人が共済契約に基づいて受け取る給付であり、保険会社の慰謝料とは異なる性質を持ちます。
自賠責と共済金は重複受け取りが可能
結論から言えば、自賠責保険の通院慰謝料と府民共済の通院保障は、重複して受け取ることが可能です。なぜなら、自賠責は加害者側の保険から支払われる損害賠償であり、共済金は契約者が共済契約に基づいて受ける「給付金」だからです。
そのため、共済金は損害補填の二重取りには該当せず、問題なく併用が認められています。
任意保険との関係性と注意点
一方で、任意保険(対人賠償保険や人身傷害保険)との関係では注意が必要です。任意保険会社は、他の保険や給付金で補填された金額を控除して支払いを調整する場合があります。
特に「人身傷害補償保険」では、自賠責からの支払いや健康保険・共済金などを差し引いた額が補償対象となるケースもあり、契約内容の確認が重要です。
実例で見る併用のパターン
例1:交通事故で10日間通院した場合、自賠責から4,300円×10=43,000円の慰謝料、府民共済から2,000円×10=20,000円の共済金が受け取れます。これは問題ありません。
例2:上記に加え、人身傷害保険で補償を受けようとした場合、自賠責と府民共済の支給分を控除して差額を支払う保険会社もあります。事前に確認しましょう。
まとめ:重複受給の可否は「性質の違い」がカギ
自賠責保険と府民共済の通院保障は、目的や支払主体が異なるため、併用して受け取ることが可能です。ただし、任意保険と併せて給付を受ける場合は、契約内容や支払基準によって調整が入ることがあるため注意が必要です。事故後は証拠書類を整理し、各保険窓口に確認を取りながら手続きを進めましょう。